真央、ＳＰでまさかの出遅れ７位…世界フィギュア

　◆フィギュアスケート　世界選手権第５日（２９日、モスクワ・メガスポーツ）　女子ショートプログラム（ＳＰ）を行い、２連覇を狙う浅田真央（２０）＝中京大＝は５８・６６点で７位と出遅れた。昨年大会以来１年１か月ぶりの復帰戦となったバンクーバー五輪女王の金妍兒（キム・ヨナ、２０）＝韓国＝が６５・９１点で首位。４年ぶり頂点を目指す安藤美姫（２３）＝トヨタ自動車＝が６５・５８点で２位、初出場の村上佳菜子（１６）＝中京大中京高＝は１０位となった。

　得点を待つ不安そうな真央の表情。その不安が的中した。最初に挑んだトリプルアクセル（３回転半）は両足着氷になり、回転不足を取られた。後ろに２回転をつけて連続ジャンプで予定していた３回転フリップも、わずかに回転が足りなかった。

　「この大会で一番重要」と話し、衣装も新調して臨んだＳＰはシニア転向後２番目に悪い７位発進。「アクセルは練習でしっかり跳べていなかった。本番で思い切って跳べばと思っていたけど、今日はまだましだったと思う」。真央は眉間にしわを寄せた険しい顔で振り返った。

　３回転半はこの日朝の練習でも２度、転倒し、完璧な成功は一度もなかった。試合前に佐藤信夫コーチ（６９）からダブルアクセル（２回転半）に変更も打診されたが、自分の意志で挑戦を貫いた。だが「日本でもこんな感じでした」と大会前から不調だった大技は本番で起死回生の成功とはいかなかった。

　今季はジャンプの修正に着手したことで、安定感を欠いている。佐藤コーチは「パワーが足りない。体重も痩せた。（東京開催が中止になって）一度精神的に緩めなければならず、その後、調子が上がってこなかった」と、説明した。会場は０９年ロシア杯と同じで、ＳＰ６位で総合５位に沈んだ苦い思い出もある。“相性”の悪いリンクで、首位のヨナに７・２５点の大差をつけられた。

　３０日のフリーでも、諦めずに３回転半に挑む予定だ。佐藤コーチも「自分の定石から言うと（フリーでの３回転半は）ないが、気持ちがしぼむ方が怖いので、前向きさを最優先したい」と特別に“許可”を与えた。

　「気持ちは切り替わっているし、フリーの方が自信がある。フリーで安定した演技ができるように頑張ります」。日本人初の２連覇は遠ざかったが、震災で沈む日本に勇気を与えたい―。真央が不屈の闘志で逆転メダルへ懸ける。

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