厚生労働省の発表によると、今年3月に生活保護を受けた世帯は前の月より増え、全国で134万3944世帯に上り、過去最多となったことが分かった。月平均でみると、09年度は約127万世帯で、前年度の約115万世帯を約12万世帯上回っている。一方、生活保護を受けている人数は、09年度が約176万人で、前年度のより約17万人増加。増加傾向に歯止めがかかっていない。
そもそもこの生活保護制度は、「資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長することを目的としている(厚生労働省HP 生活保護制度より)」。
支給される保護費は、地域や世帯の状況によって異なる。また、「保護の種類と内容」については、「生活を営む上で必要な各種費用」とある。具体的には、日常生活に必要な食費・被服費・光熱費などの費用のほか、アパート等の家賃、義務教育を受けるために必要な学用品費、医療サービスの費用、介護サービスの費用、出産費用、就労に必要な技能の修得等にかかる費用、葬祭費用などがある。
雇用情勢の悪化だけでなく、高齢化が加速している現状からすれば、生活保護の受給者が増えることはやむを得ない。しかし、受給者が増えるに従って、制度の問題点も浮上している。例えば大阪市では、外国人の受給者がはじめて1万人を突破し、そのほとんどが在日韓国・朝鮮人で、特に高齢化した無年金世代が増えていることが分かり、問題となっている。この結果、外国人の無年金者が、日本人の国民年金加入者よりも、多額の受給を受ける状況になっているという。
また、生活保護制度を悪用した「貧困ビジネス」も現れている。最近では、NPO法人「いきよう会」と大手不動産仲介会社の元店長による、生活保護費詐取事件が記憶に新しい。この事件の手口は、まずNPO法人が共謀する不動産仲介会社に、生活保護受給者を紹介する。紹介を受けた不動産仲介業者は、受給者の転居の際、「敷金の額」を水増しして市に敷金扶助を申請し、不正に受給していた。
逮捕された不動産仲介会社の元店長は、「業界ではみんなやっている」と供述しているという。一方、空室の増加に頭を抱える大家は、入居者を紹介してくれる仲介業者の言いなりにならざるを得ない。こうした状況を考えると「貧困ビジネス」の病巣は深そうだ。
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