2011年5月1日3時0分
肉牛、乳牛ともに、放牧と牛舎内での飼育方法があるが、基準を超えた場合、各都県が農水省の方針に基づき、畜産農家に放牧や牧草を牛に与えることをやめるよう指示する。罰則はない。福島県で原乳から基準を超える放射性物質が出た3月中旬以降、福島、茨城、千葉の各県などは既に放牧を自粛して牛舎内で管理しているが、対象地域に入ると、輸入牧草や原発事故前に収穫して室内などで管理していた牧草を使うことを強いられる。
牧草は主に3月半ばの水素爆発の際に汚染されたとみられる。農水省は「牧草は5月中旬以降に収穫期を迎える種類がある。いったん刈り取った後に生えた牧草は汚染の程度が低いとみられるので利用できる可能性が高い。しかし、汚染状況によっては牧草の緊急輸入が必要になる可能性がある」と言う。農水省は牧草の購入費などは補償対象になるとみている。
同省は牧草の制限で原乳や牛肉の安全性を守るとともに、原乳や牛肉のモニタリング調査も継続する。牛肉で放射性セシウムの基準(1キログラムあたり500ベクレル)を超えた結果はこれまで出ていない。福島県の28日の発表では、最も高い数値で葛尾村の牛肉が108ベクレルだった。(大谷聡)