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牧草の禁止地域設定へ 農水省、16都県に調査依頼(1/2ページ)

2011年5月1日3時0分

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図:牧草の検査を行う16都県拡大牧草の検査を行う16都県

 牛の放牧や、牧草を牛に与えることを禁止する地域を近く設定する方針を、農林水産省が決めた。放射能で汚染された牧草を食べた牛の原乳や肉から基準以上の放射性物質が検出されることを防ぐための措置。すでに福島県や千葉県の一部では、牧草から放牧禁止の基準を大幅に超える放射性物質が検出されている。

 農水省によると、汚染された牧草を食べた場合、乳牛は放射性ヨウ素がすぐに原乳に混じる。放射性ヨウ素は半減期が短いため肉牛は成長の過程で薄まるが、半減期が30年と長い放射性セシウムは筋肉などに残ることがわかっている。

 このため農水省は4月中旬、牧草1キログラムあたりの基準を、乳牛の場合で放射性ヨウ素は70ベクレル、放射性セシウムは300ベクレルと設定。肉牛は放射性セシウムだけ300ベクレルとした。基準は、牧草の放射性物質が原乳や牛肉に移る割合を調べた国際原子力機関(IAEA)のデータを参照した。牧草を食べる家畜のなかでも、価値が高く広く飼育されている牛を優先して基準をつくった。野菜は洗った状態で検査するが、牧草は洗わずに牛に与えるため、基準が厳しくなった。

 農水省は、大気中のモニタリング検査結果から、汚染が懸念されるとして東北や関東甲信などの16都県に調査を依頼した。検査は5月半ばごろまでに順次終わる見込みだ。このうち福島県は30日に結果を発表。県内7カ所すべてで基準を超え、特に相馬市では放射性セシウムが約30倍だった。28日に発表した千葉県では、県中部の市原市で放射性ヨウ素も放射性セシウムも基準の3倍を超えた。

 牧草の放射能汚染の程度は牧草の形状や成長した時期にも左右されるが、市原市は福島第一原発から200キロ以上離れており、農水省は牧草の禁止地域は広がる恐れがあると見ている。

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