2011年3月2日 11時14分 更新:3月2日 14時19分
京都大など4大学の入試問題が試験時間中にインターネットの質問掲示板「ヤフー知恵袋」に漏えいした事件で、4大学の問題ともNTTドコモの携帯電話から投稿されていたことが2日、京都府警と警視庁への取材で分かった。いずれも同一の携帯電話が使用され、府警などは今後、偽計業務妨害容疑での捜索差し押さえ令状を取って同社から携帯電話の契約者などに関する情報の提供を受け、投稿者「aicezuki」(ユーザー名)の特定を進める。
また、京大の入試問題の漏えいが先月25日の文系数学で6回、同26日の英語で2回と回数が多く、事件発覚(26日)の時期とも近接していることから、京都府警が京大の事件を優先して捜査する方針を固めたことが分かった。京大を管内に持つ府警川端署に特別捜査班を置き、警視庁と共同捜査する。
捜査関係者によると、府警などは掲示板を運営するヤフー側からサーバーに残されていた接続記録を入手し、ネット上の住所に当たるIPアドレスなどを解析。先月8日の同志社大文学部・経済学部の英語(投稿回数1回)▽同11日の立教大文学部の英語(2回)▽同12日の早稲田大文化構想学部の英語(1回)▽同25日の京大文系の数学(6回)▽同26日の京大の英語(2回)--の投稿に使われた携帯電話がNTTドコモのものであることを突き止めた。
府警などは、携帯電話に内蔵されているICカードの識別番号についても情報提供を受け、発信元の携帯電話が同一であることも把握している。今後、これを基にNTTドコモに対して、当該の携帯電話契約者の個人情報の提供を求め、投稿者の特定を進める。
個人情報に関わる情報の提供を求める際には、相手先が協力的であっても捜索差し押さえ令状が必要になるケースが多い。NTTドコモも、警察当局から令状に基づく要請があれば応じる方針。
ただし、今回の事件については、複数が関与した疑いがあり、受験生が所持している携帯電話については保護者が契約者となっている場合も多く、携帯電話の契約者が投稿者とは限らない。このため、府警などは、契約者の情報を各大学が持つ受験者の情報などと突き合わせ、慎重に捜査するとみられる。【太田裕之、林哲平】