2011年3月2日 11時41分 更新:3月2日 13時9分
【クライストチャーチ佐藤賢二郎、樋岡徹也】ニュージーランド・クライストチャーチ付近で発生した地震で、安否不明の日本人28人の家族69人が2日正午(日本時間午前8時)過ぎ、市災害対策本部の案内で市中心部のCTVビル崩壊現場を初めて訪れた。残った建物の崩壊の危険があることなどから、一帯は2キロ四方にわたって立ち入りが禁止されており、これまで家族も近づくことができなかった。地元警察当局は2日、新たに4遺体を収容し、死者数が159人になったと発表した。
現場に入った徳永久志外務政務官によると、家族らはバス3台に分乗。被災した日本人が通っていた語学学校「キングス・エデュケーション」が入居していたCTVビルの前で、徐行しながら進むバスの車内から約3分間、被災現場を目にした。
バスがCTVビルの現場に近づくと、家族らは身を乗り出すようにして、がれきが残る現場を見つめ、手を合わせた。黙って頭を下げたり、涙ぐんだり、家族同士で言葉を交わしたりしていたという。CTVビルには今回の地震の死者・行方不明者約240人のうち、半数の120人がいたとみられる。
徳永政務官は「家族の心情は察するに余りある」と話した。家族らは現地到着直後から現場への訪問を要望していたが、「危険が多く、また、日本人家族だけ特別扱いできない」(災害対策本部)との理由でこれまで許可されなかった。パーカー市長は「家族にとっては悲痛な旅になるため、メディアには公開しなかった」と語った。