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[26817] 【ネタ】ISとある日の大騒動【オリ主、直死の魔眼】
Name: フェイト◆fb9d17bc ID:35ab9637
Date: 2011/04/30 23:46
「気が重いか?」

白を基調とし、詰襟なのかブレザーなのか良くわからない上着の所々に赤いライン
の入ったIS学園の制服。どこか変なところは無いか気にしていると千冬さんが声を
かけてきた。

「当たり前でしょう。ただでさえクラスメイトの全員が女の子だって言うのに、お
れ一人だけ男――しかも、一つ年上なんですよ? これで重圧を感じるなと言う方
が無理です」

「まあ、それもそうだ。だが、ここに来た以上は慣れろ」

「郷に入っては郷に従え――わかってはいるんですけどね……」

「世界中を幼いときから回ってきたお前だ、すぐに慣れる」

まあ、確かに千冬さんの言葉には一理あるな。

多国籍的に生徒を受け入れざるを得ないIS学園。様々な人種が居て、当たり前に多
種多様な文化が混ざっているんだ。むしろおれにとっては居心地が良いかもしれな
い。

でも、

「1年生の教室に1人だけ年齢的には2年生が居るって、しかも男子と言うのは些か
どうかと思いますけど」

「そうか。なら今から2年生の教室に向かうか? 私も学園も構わんぞ。ただし、
ISの知識や技量に関しては絶望的な差があるが」

「1年生でいいです。いいえ、1年生と共に学ばせてください。お願いします」

友人のお姉さんに平謝りする。

廊下の途中で頭を下げているおれ――蒼井 司は年齢的には2年生なのだ。ちゃん
と高校1年生を終えて、いざ2年生になろうと言う所だった。

しかし、1年生が終わり2年生になる間の春休みに、父親と共に冒険しに様々な国を
回ったのが運のつき。アフガニスタンを回っている途中で、駐屯していた米軍の知
り合いに父が話を通して中を見せてもらっている時に事件は起こった。

米軍所有のISをターシャという女性が触らせてくれるというから触ったら、反応し
てしまったのだ。そこから、おれの人生は大きく狂った。

有名進学校でそこそこの成績を残していたおれは強制的にIS学園に送られて、一つ
年下の女の子たちとISについて勉強する羽目になったのだ。

父は今となっては珍しい冒険家で、おれを小さいときからいろんな国や地域に連れ
出してくれていた。

コネクションをこれでもかと言うほど多く持つ父は、普通だったら立ち入れない場
所にも入れるほどに顔が利く。おれはそれが好きで父との冒険についていってた。
ときに紛争のど真ん中を駆け回ったり、ときにマラリアにかかって生死の淵をさ迷
って“直死の魔眼”を開眼したりと酷い目にもあったが、それでも冒険のドキドキ
は尽きる事が無かった。

高校になってからは長期休暇の時にしか行かなくなったけど。まあ、今回はそれが
災いしてこうなったんだが。

「そう言えば織斑先生、一夏はどうしてますか?」

「お前、何も知らないのか?」

「はい?」

「私の弟もなぜか偶然偶々ISを動かしてしまってな、お前と同学年だ。本当に知ら
なかったのか?」

「はい、全く」

でも、おれにとっては有益な情報といえよう。これはまさに、救いの手。

「篠ノ之とも顔見知りだったな、お前は」

「ええ。箒もいるんですか?」

「ああ。姉があんな物を作ったというのに、よくもまあここにこれたものだ」

「それ、IS一号機に乗った人間が言う事ですか?」

「あんな物に乗りなれているから言えることだ――待て、何でお前が知っている」

「おれはIS一号機としか言ってません。と言うか、墓穴堀ましたね」

してやったり。小さいときにパンパン竹刀で殴られていた恨みは覚えているのだ。

「束の入り知恵か」

「ええ。自慢してましたよ。白騎士のちーちゃんはまさに戦う王女さまだね♪ っ
て」

「まったく、束の奴……。わかってると思うが口外するな。わかったな?」

「わかってますよ」

おれも長生きはしたいですし。と言うか、否定しないんですね。

しかし、入学式が終わってすぐに転校生が来るという事は、きっと女子生徒達にと
っては一夏に続く話題であろうな。頭痛くなってきた。

「ここで待ってろ」

「うっす」

扉の前で待たされると、スタスタ教室の中に入って言ってしまった。

ああ、一夏に箒か。会うのは何年ぶりだろうな。箒に関しては束さんがISを作って
色んな場所を転々としていたからな。

『えっと、今日は皆さんに新しいお友達を紹介します』

山田先生の声が教室から聞こえる。

そして、その後、

『男ですか! カッコイイですか! 美少年ですか!』

『女ですか! 美人ですか! 腐女子ですか!』

『マゾですか! サドですか! どっちも行ける口ですか!』

…………。

何かスゲーフリーダムな個性を持った女の子たちだなぁ~。身の危険を感じずには
居られないおれであった。

『じゃあ、入ってきてください』

「はい」

一度のどの調子を整えていざ出陣。

扉が開いておれは教室の中に入る。すると、教室全ての視線が一気に集まってきて
おれを威圧する。

「始めまして皆さん。自分は蒼井司。皆さんとは一つ年上なのですが、諸事情によ
り皆さんと同じ1年生です。これから3年間よろしくお願いします」

はい、これで一礼。そして、正面に居る一夏に軽く手を振る。

「よっ」

「つ、つかにぃ!?」

「はははっ、懐かしい呼び方だな。元気にしてた――」



「「「「「キャァ―――――――!!!」」」」」


軽く一夏と会話している途中、教室の窓ガラスが震えるほどの女子たちの黄色い悲
鳴が炸裂した。

「男子! 二人目の!」

「しかもお兄様系! 守られたい!」

「サドですか! マゾですか! 出来れば罵ってください!」

お前はマゾなのか……。

きっと一夏も初日はこんな感じだったのだろうな。心中察するよ、一夏。

「静かにしろ、馬鹿ども」

千冬さんの鶴の一声でシーンと静まりかえる教室。

「蒼井、お前の席は後ろだ」

「はい」

一夏の横を通り過ぎて一番後ろの席に移動する。いや、新鮮だねこの眺めは。前に
居る事が多い俺からすれば。

ショートホームルームはおれのこと以外特に無く、すぐに終わった。

「本当につかにぃなのか?」

「一夏、つかにぃはもう勘弁してくれ。男にそんな名前で呼ばれるのは気持ちが悪
い。司か、呼びにくかったらさん付けでいい」

「じゃあ、司。なんでここに?」

「愚問過ぎるだろうが、その質問は。おれもお前と同じようにISに乗れたからだ
よ」

「確かにそれしかここに来れた理由はないか」

「来たくはなかったけどな……」

「同感……」

二人して盛大に肩を落とす。

嗅覚が敏感なせいか、この教室に充満した女子臭が甘くていい匂いで――

「司……性格変わったな」

「はははっ、そんなことはないぞ?」

いたーい子を見るような一夏の視線に背を向ける。

「と言うか、この教室の前すごいな。女子、女子、女子。どこを見ても女子だら
け」

目の保養のための美少女もたっぷり。これ、なんてギャルゲー?

「数年見ないうちに変態主義に走りましたね司さん」

ギャルゲーの名前を考えながら可愛い女子を眺めていると、現れたのがこの教室で
大和撫子率トップの篠ノ之箒だ。

「そんなことはない。俺は健全な男子高校生だ!」

「…………」

「な、なんだその怪しい人を見るような目は!」

「いいえ、別に」

「ところで話は変わるけど、箒」

「なんです」

「パンツ、見せてもらってもいいですか」

ズグシャ!

「のぉぉぉおおおお!!! 木刀が眉間に食いこんだぁぁぁああ!!!」

「い、いつからそんな、破廉恥な事を堂々と聞くようになったのですか、アナタ
は!!!」

いつの間にか(と言うか、どこからか)取り出した木刀を、真っ赤な顔で正眼に構え
ている箒は、いやはや、可愛い!! ありだな、ファース党!!!

「ガチガチに凝り固まった箒の雰囲気を和ませようとした軽いジョークじゃない
か。本気にするなよ……」

「固まってなんていません」

「そうかなぁ? お兄さんの目は誤魔化せないぞ? ズバリ! 今日の箒のブラは
ピンク!」

ズシャ!

「のっ、喉仏……喉仏はさすがに、ゲフンゲフン……死んじゃうからね!?」

今にも噴火しそうなほどに顔を真っ赤に染めている箒。うん、弄り甲斐があるね。
おれってサド?

「司さんが変なことを言うからです」

「おい! 勘違いをしているぞ! これはな、一夏が命令した事だ! おれは全く
の無罪なんだ!」

「なに出鱈目ってんだよ司。……ま、まて箒。俺は別にお前の下着になんか興味は
――」

地雷踏んだ一夏君は脳天におも~い一撃を貰ってぶっ倒れました。





[26817] 一発で済ませる予定だった……。
Name: フェイト◆fb9d17bc ID:35ab9637
Date: 2011/04/30 01:11
「――であるからして、ISの基本的な運用は現時点で国家の認証が必要であり、枠
内を逸脱したIS運用をした場合は、刑法によって罰せられ――」

山田先生の読み上げていく教科書を目で追いながら要点を抑えていく。

どっかりと積み上げられた教科書五冊。まあ、この程度は見慣れてるから特に変化
なし。授業内容が少しだけ理解できないのは痛いかな。

(勉強苦手な一夏はきっと苦労してるだろうな……)

最前列中央の席。そこでは頭を抱えて今にも煙を出しそうな一夏の後姿が見えた。

で、今度は箒の方を見てみる。むこうは姉がISの生みの親――と言っても、実力は
自分の努力次第なので関係はないが、しかし、事前知識はしっかりとつけているよ
うで一夏と違い授業内容を書き留めるシャーペンの動きが軽やかだ。

(と言うか、山田先生胸でかいなぁー)

千冬さんよりも2周りほど大きな胸。しかし、服装が少し大きめでサイズが合って
ないせいか幼く見えるというギャップ。うん、ありだな。

「あの、蒼井くん? 授業、付いてこれてますか」

「事前知識が皆無に等しいので全く」

「じゃあ、放課後に先生と補習しましょうね」

「いえ、二週間で何とかしますんでお構いなく」

「そ、そうですか……」

ショボーン、と手を口元にやってやや斜め右下を見る山田先生。ぶっ!? な、なん
て破壊力だ……。

おれが周囲に気付かれないように鼻にティッシュを詰めているとチャイムが鳴る。

「つかにぃ~」

「うわっ!? 一夏……どうした。酷い顔してるぞ」

「ISの事教えてくれ」

「人の話を聞け。俺はISの知識に関しては皆無だ。他の教科ならバッチリ教えてや
れるけどな」

「うわぁー!! 今度のクラス代表決定戦どうすりゃあいいんだよ」

「クラス代表決定戦? 何それ、美味なの?」

「それは、わたくしから説明して差し上げますわ」

横から聞こえた美声。声が聞こえたほうを向けば金髪クロワッサンが、腰に手を当
てて胸を張っていた。

「あなた今、不謹慎かつ不誠実な事を想像してなくて?」

「別に何でもありませんよ。でわでわ、説明をよろしく」

「仕方ありませんわね。でわ、わたくしセシリア・オルコットが直々に説明して差
し上げますわ」

「クラスの代表を決めるISの戦闘で、それに俺が推薦されて、セシリアが対戦相手
なわけ」

今まさに説明を始めようとしたクロワッさんを無視して、目の前の一夏が簡潔に説
明してくれる。

なぁるほどね。アイドル的人気を誇る一夏が推薦されるのはわかるな。いやぁ、こ
れでもし俺が初日からここに来てたら推薦されてたわけだ。面倒な仕事はやりたく
ない主義でね。

「ちょ、ちょっと!! わたくしがせっかく説明して差し上げようと思ってましたの
に、極東の猿は黙っててくださらない!?」

「何だよ。別に誰が説明しても変わりないだろ」

「まあまあ、ご両人。この程度で目頭立てても疲れるだけだから、一旦落ち着きま
しょう。はい、飴」

「おっ、サンキュー」

「い、いただきます」

あげた飴を口の中に放り、コロコロと二人して口の中で転がしている。うん、もし
かしたらオルコッ党もありかもしれん。

「で、ご両人は何となく犬猿の仲っぽいどなんで?」

「セシリアが色々と馬鹿にしたからな。日本が文化後進国だとか、男の俺がクラス
代表をするのが屈辱だとか」

「アナタだって、わたくしの祖国の料理を侮辱したではありませんか!!」

「はい、ストーップ。セシリアさん、生まれどこ?」

「イギリスですわ。それが何か問題ありまして」

イギリス、ねぇ~。なるほど。彼女の若干高飛車な性格はそこから来てるわけか。
納得。

「一夏、第二次世界大戦で日本が負けた国は?」

「い、いきなり歴史? えっと……フランス、アメリカ、ロシア、中国……あとは
――」

「わたくしの祖国、イギリスですわ!!」

「うっ……」

「思い出したようで結構。日本は第二次世界大戦で負けた。それは覆らない歴史
だ」

おれの言葉に俯く一夏と堂々と胸を張るセシリア。

「だが、イギリスの料理があまり美味しくないのは認める」

「なっ!? アナタまでそう仰るのですの!! ふん、所詮は同じ極東の猿同士。考
える事は同じのようですわね」

「いや、スコーンはおれも好きだよ。嘔吐ミールはちょっと口に合わないかなって
ぐらいで」

「うっ!! 確かにあれはわたくしも……」

ああ、やっぱりイギリス人もあれは嫌いなんだ。まあ無理もないな。そもそも、味
付けをしないと言うのがイギリス料理の特徴だからな。基本は焼くと茹でるの二
つ。たったこれだけ。

料理の味よりも歴史を重んじるのがイギリスと言う国の特徴なのだ。

さて、イギリス料理の話に花が咲きかけた所でチャイムだ。

「ほら、二人とも席に付け。鬼が来るぞ」

「誰が鬼だ、馬鹿者」

スパァンとおれの頭部がありえない音を響かせる。

振り向けば出席簿を手に立っている千冬さんが居た。

「痛っぅ~~!? いつの間に後ろに?」

「さぁ、いつからだろうな」

得意気に笑みを浮かべながら教室の前まで歩いていく織斑先生。いくつもの紛争地
域や死線を掻い潜ってきたおれの後ろを取るとは……。えぇい! 織斑家の家長の
戦闘力は化け物か!




■ ■



放課後、それは学生にとってはそれだけで娯楽に等しい。と言うか、自由な時間な
んだから娯楽に使うのが当たり前だ。まあ部活に勤しむヤツも居るが。

「……」

やはり晴れた日の屋上はいい。ホゲェ~と時間を忘れて空を眺めていると心が落ち
着く。

一夏と箒は授業終了後、早々に教室から出て行った。剣道場で稽古だそうだ。一緒
にどうかって、箒に誘われたけど丁重にお断りした。

今日ぐらいはこうしてゴロゴロしていたい。

始めは何人かの女子が付いて来て物陰から様子を窺ってたが、俺が寝転がって数分
すると見飽きたのかどこかに行ってしまった。

少し顎を引けばその先には夕日をバックにIS学園のタワー――確か第六アリーナだ
ったか?――が見えて、その上では、上級生たちが学園のISで日々練習している。

(いいな、IS……)

アフガニスタンに駐屯していたアメリカ軍、そこにあったISの試作機に超々特別に
触らせてもらって反応した。

試しに飛んでみたら楽しかった。

PICで緩和されているとは言え多少のGが体を押さえつけ、音速に近い速さで空を
舞うときの息苦しさは快感だった。

途中で浮いてきたバルーンを腕についていた飛び道具で打ち落としたときは、年甲
斐も無く大いにはしゃいだ。

昼間に一夏には専用機が配備される、と千冬さんが言ったとき周囲が羨ましがって
いた。口には出さなかったが、俺もかなり羨ましかった。

もう一度、飛びたい。

――自由な空へ。

――限りない蒼い海へ。

――あの白い雲の上を滑りたい。

――頬を撫ぜる風を感じたい。

――心地よい息苦しさをもう一度。

ブー、ブー、ブー、ブー……。

(電話?)

いつの間にか空へ伸ばしていた腕を下ろし、ポケットの中に入っている携帯電話を
取り出す。

「親父?」

何のようだろうか?

「もしもし」

『おお、司。元気か?』

聞きなれた低い声。ただし、いつも楽しそうに少し弾んでいる。俺の実父、蒼井永
二――この時代には少ない冒険家だ。

(そう言えば、旅先で知り合った人たちはみんな先生って言ってたな。教師でもや
ってたのか?)

「元気だけど一体どうしたの、急に電話なんて」

『息子がホームシックになっていないだろうかって心配でな』

「俺だってもう今年で17歳になるんだ、ホームシックになんかなるわけないだろ。
むしろ寮生活で個人の時間が増えてラッキーだった」

『部屋で一人マス書いてんのか?』

「電話切るぞ」

『冗談だって。こんな冗談も通じんのかお前は』

まあこの通り、最悪のジョークセンスの持ち主な親父だ。俺のジョークセンスの良
さは母さん譲りだ。

「で、電話した理由は?」

『さっき言っただろ。お前がホームシックになってないか確かめに電話したって』

「じゃあもう切って良いか。俺はこの通り元気だ」

『そのようだな。息子の元気な声が聞けて良かった良かった。じゃあ、千冬ちゃん
と一夏くん、あとは箒ちゃんと束ちゃんによろしく言っておいてくれ』

「わかった。じゃあな」

全くあの親父は、どうでも言いこと気にすんなよな。

俺がホームシックになるわけがないだろうが。

口には出さない愚痴を胸の内にこぼしながら携帯電話の電源を落としてバッグの中
にしまう。

今日は登校初日と言う事もあってか少し疲れた。

ここで少し眠っていくとしよう。それで、部屋に戻って勉強して、PCゲーのチャッ
ト仲間と会話して寝よう……。





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