戦犯容疑で死刑宣告を受け処刑寸前で釈放されたが、これが深い衝撃となって白痴になった青年・亀田(森)は、復員して帰る途中の船で赤間(三船)と知り合う。
赤間は政治家の囲い者、妙子(原)を愛していた。美しい妙子に亀田も心を奪われるが、一方、純粋な心をもつ亀田に下宿先の娘・綾子(久我)は心惹かれる…。
黒澤監督は、作品の長さを巡って会社と衝突し、「どうしても切れと言うなら、フィルムを縦に切る」とまで言って抵抗したというエピソードは、あまりにも有名。
結局現在の長さで完成した「白痴」は当時日本では難解だと評されたが、海外では、「原作を大胆に改変しながらもその精神を生かし、舞台を日本に移すことに成功。
更に、ドフトエフスキーの困難な心理描写を正しく表現した」と評価された傑作。 |