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【社会】

福島の酒飲んで応援 酒造各社、4月は前年超す勢い

2011年4月30日 13時33分

 福島県産の日本酒の人気が急回復している。福島第一原発事故による風評被害や物流中断の影響で、三月は売り上げが落ち込んだが、四月になって首都圏を中心に全国から注文が増加した。「福島の酒を飲んで応援したい」という顧客が多いためで、各酒造会社は「四月の売り上げは昨年を上回る勢い」と話している。

 大七酒造(二本松市)の倉庫には一升瓶六本入りのケースが山積み。大型トラックで連日、全国に出荷している。

 担当者は「震災前より多いくらいだ」と出荷に追われる。三月の売上高は前年同月比で二割減だったが、四月は上回る見込みだ。太田英晴社長は「首都圏だけでなく、取引がなかった地方も含め全国から注文が相次いでいる」と話す。栄川酒造(磐梯町)も三月は前年比三割減だったが、四月は一転して好調。同社は「東北の酒を応援しようと、ここ一週間ぐらいで注文が急増した」と言う。

 独自の義援金シールを貼り、売り上げの一部を被災者に贈ることも決めた。担当者は「注目されるのはありがたいこと。一過性のブームに終わらせないようにしたい」と意気込む。

 県内の酒造業界には四月上旬まで、原発事故による風評被害の危機感が広がっていた。県酒造協同組合は、浜通り、中通り、会津の三地方から日本酒を一本ずつ選んで検査し、放射性物質が検出されないことを公表するほどだった。

 人気のV字回復について、酒卸大手の日本酒類販売(東京)は「被災した東北三県の地酒に、全国が注目している。これまで出荷が少なかった西日本でもキャンペーンが盛んになっている」と説明する。

 原発事故は収束せず、多くの県民が避難したままで、県内消費は冷え込んでいる。末広酒造(会津若松市)は「県内の売り上げ減を、首都圏などの注文で補っている状況」と話す。

 県酒造協同組合は「出荷先が県内中心の酒造会社も多い。本格的な回復のためには、足元の復興が不可欠だ」と地元にも期待している。

(東京新聞)

 

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