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2011年 |
04/16 04月期問題頁掲載 |
2010年 |
12/23 12月期問題頁掲載 |
09/08 08月期問題頁掲載 |
A-25 |
高周波電流を測定するための計器として、最も適しているものを下の番号から選べ。
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1 |
誘導形電流計 |
2 |
熱電形電流計 |
3 |
整流形電流計 |
4 |
可動コイル形電流計 |
5 |
可動鉄片形電流計 |
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この手の問題は、「正答さえ覚えてしまえば勝ち」なのですが、それ以外の選択肢がなぜ高周波測定に向かないのか、知っておくと応用が利くと思います。
[1]各計器の構造と動作原理
構造と高周波特性を中心に表にまとめてみました。構造を文章で説明しているので、分かりにくいかもしれません(単に絵を描くのが面倒だっただけ)。想像を働かせてみてください。
名 称 |
交流/直流 |
目盛 |
構造・高周波特性 |
可動コイル形 |
直流用 |
均等 |
永久磁石で作られた磁界中に、回転軸を持つ枠型の可動コイルを置く。直流用計器であり、高周波では動作しない(針が振れない)。 |
整流形 |
交流用 |
均等 平均値 |
整流器(ダイオード)と可動コイル形電流計の組合せ。低周波は平均値を指示するが、高周波ではダイオードの周波数特性やコイルの巻き線のインダクタンスなどで精度が悪化するので使われない。 |
誘導形 |
交流用
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均等 実効値
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コイルで生成した交流磁界の中に、アルミニウム等の回転できる円盤を置き、円盤に生じるうず電流と磁界による回転力とバネの釣合いで電流を指示する。高周波ではコイルにより電流が通らなくなるので用いられない。 |
熱電対形 |
交直両用 |
2乗 |
熱電対と可動コイル形指示器の組合せ。熱線に熱電対を接触させておき、測定電流を熱線に流して温度上昇に応じた熱起電力で指示器を振らせる。熱線や熱線に至るまでの線路を工夫すれば、数100 [MHz]まで優に使用できる。 |
可動鉄片形 |
交直両用 |
均等 |
測定電流を流すコイルの中に鉄片を入れて固定し、対向する別の鉄片を可動にしてバネを取り付けた構造。電流を流すとその量に応じて鉄片が同じ方向に磁化されて反発する力をバネでつり合わせて指示する。低周波では実効値を指示するが、高周波では鉄片の応答(磁化)が減少するため使用できない。 |
電流力形 |
交直両用 |
2乗 |
可動コイル形電流計の永久磁石を、測定電流の流れる固定コイルで構成したような構造。高周波ではコイルにより電流が通らなくなるので用いられない。 |
静電形 |
交直両用 |
2乗 |
回転軸を一にする、固定電極とバネの繋がった回転電極の間に被測定電圧を掛ける。電極間に働く静電力とバネ力の釣合いで指示する。一般に高周波では特性(直線性等)が悪化するので、使われない。 |
上の表で、高周波・低周波とあいまいに言っていますが、「低周波」と言えば商用電源周波数(50・60 [Hz])〜音声周波数の低周波側(数 [kHz])で、「高周波」と言えば[MHz]〜[GHz]の範囲と考えて下さい。
[2]熱電対形電流計の構造と動作原理
熱電対形電流計は問題図にもありますが、原理的な構造はFig.HJ0602_aのようになっています。熱電対は、2種類の金属を環状に接続し、一方の接続点と他方に温度差を与えると、温度差に比例した電流が流れること(熱電効果)を利用したものです。この電流計では、熱線で熱電対の片方の接続点を加熱します。
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 Fig.HJ0602_a 熱電形電流計の構成と動作
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整流形などのように、交流電力で直接メーターを振らせるのではなく、高周波電力をジュール熱に変えて、熱電対で熱線の温度を測定する形でメーターを振らせるため、周波数特性が良く、高周波電流計として用いられます。また、後で説明するように、波形の影響を受けずに実効値が測定可能です。 但し、熱線が温まったり冷えたりするにはある程度の時間がかかるため、応答性はあまり良くありません。それから、目盛りが線形にならない(理由は下記参照)、という点も特徴です。
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熱線に電流を流す時、その温度上昇は熱線で発生する熱量(=電力P)に比例しますが、Pは流れる(計測する)電流Iの2乗に比例します。 一方、熱電対に起こる熱起電力(=熱電流i=電流計Mの振れ)は温度上昇に比例するため、結果として、Mの振れは計測対象Iの2乗に比例します。 つまり、熱電対形電流計は2乗目盛となります。
[3]熱電型電流計の指示値は波形に依らない
整流型電流計では、目盛りは正弦波交流を仮定して振られています。逆に言うと、正弦波交流以外では、誤差を生じます。 しかし、熱電対形では、正弦波交流以外の実効値も正確に表示することができます。復習すると、「実効値」とは直流での電力と等しくなる交流の電圧(又は電流)の値のことでした。上記で書いたように、熱電形では、一旦「電力」に比例する熱起電力に変換しているので、Mに流れる電流そのものが実効値(の2乗)に比例した量になっているからです。 従って、熱電対形電流計では、波形率や波高率に関わらず、実効値を表示できます。
それでは、解答に移ります。
これらの選択肢のうち、高周波で使用できるのは熱電対形だけですから、正解は2と分かります。
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