東京電力福島第一原子力発電所の事故への対応に当たるために、先月、内閣官房参与に任命された、原子力の専門家で東京大学大学院教授の小佐古敏荘氏が、記者会見し、「政府の対策は法にのっとっておらず、場当たり的だ」として、内閣官房参与を辞任することを明らかにしました。
小佐古氏は、先月、福島第一原発の事故を受けて、菅総理大臣から内閣官房参与に任命されましたが、29日夕方、総理大臣官邸を訪れて辞任届けを提出し、記者会見を開きました。この中で、小佐古氏は辞任の理由について、「原子力災害対策には、関連する法律や原子力防災指針などで対策が定められており、それにのっとって対策を進めるのが基本だ。しかし、総理大臣官邸などは、今回の対策で法律を守ることを軽視し、場当たり的な政策決定プロセスをとり、誰が決定したのかが明らかでない」と説明しました。さらに、小佐古氏は、文部科学省などが、福島県の小学校などの校庭での活動を制限する目安を、1年間の放射線量の累積で20ミリシーベルトとしたことについて、「これだけの被ばくをする人は、全国の原発業務の従事者の中でも極めて少なく、この数値を小学生らに求めるには、学問上の見地や私のヒューマニズムから受け入れがたい」と述べ、批判しました。東日本大震災の発生後、菅総理大臣は、助言を受けるため、小佐古氏をはじめ、原子力の専門家など6人を新たに内閣官房参与に起用しています。