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【スポーツ】

鈴木桂治が4年ぶり4度目日本一

2011年4月30日 紙面から

◇柔道 全日本選手権

4年ぶりの優勝を果たし、涙ぐむ鈴木桂治=日本武道館で

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 ▽29日▽東京・日本武道館▽体重無差別▽40選手▽世界選手権(8月、パリ)男子100キロ超級代表選考会を兼ねる

 2004年アテネ五輪100キロ超級金メダリストの鈴木桂治(30)=国士舘大教=が不死鳥のごとくよみがえった。決勝で穴井隆将(26)=天理大職=に一本勝ちして4年ぶり4度目の日本一になり男泣き。97年の金野潤以来となる14年ぶりの30歳代全日本王者となった。優勝回数では山下泰裕の9回、小川直也の7回に次ぐ歴代単独3位。また、世界選手権(8月、パリ)の100キロ超級代表には鈴木と、これまでの実績から初戦敗退した上川大樹(21)=明大=が選ばれた。

◆「意地と我慢」

 夢ではなかった。穴井が仕掛けてきた大外刈りを返し技でたたきつける。鈴木は一本を確認すると、何度も拳を突き上げた。自然に涙がこぼれてくる。今年に入って「3日に1回は夢で見た」という“夢の日本一”だ。

 「夢で見たシーンは世界選手権でもなく、五輪でもなく、全日本だった。すごくうれしい」

 我慢の連続だった。08年北京五輪で惨敗。09年講道館杯は無名選手に一本負けした。「終わったな」という周囲の声も聞こえてきた。「柔道着を着たくない」。どん底に落ちた。やめたいと思ったのは一度ではない。ただ「引退」という二文字を口にする勇気はなかった。どこかであきらめられない自分がいた。

 昨年の世界選手権も1回戦負け。それでも国士舘大の山内監督に「柔道が好きなんです。ロンドンまで頑張りたいんです」と思いをぶつけた。今年のテーマは「がけっぷち」。片足はすでに落ちかかっていた。

 この日、山内監督にこう言って送り出された。「おまえは一本勝ちもきれいな勝ちもいらない。最後まで勝ちにこだわろう」。技術を超えた気持ち。開き直り。するとこれまで前襟しかつかめなかったのに、奥襟も取った。5試合中3試合が一本勝ちになった。

 「試合中はひたすらチャンスを待った。この年で秒殺もできないし」

 耐えて、しのいでつかんだ4年ぶりの日本一。「意地と我慢ですかね」。これまでの3度とは違う喜びをかみしめていた。 (森合正範)

 

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