
チェーン展開を目指す起業家の方へアドバイスさせていただきます。チェーン展開をする場合に重要なことは経営者の思いを全てのスタッフとの共通認識とすることです。スタッフには社員だけではなくキャスト、当社ではアルバイトのことをキャストと呼んでいるのですが、も含まれます。
経営理念は、経営者の思いを言葉にしたものですが、これを全てのスタッフ間の共通認識とするために当社で行っていることをお話します。
理念を明確にしたら、次にその理念を具体的な行動に落とせるようにします。行動の標準化をおこなう。要は行動基準をつくることですね。行動基準はマニュアルで表現することが出来ます。多くのチェーン企業ではマニュアル化まではできていると思いますが、重要なことは、この行動基準に対する評価を適正におこなうことです。評価が明確に分かるようなマネージメントの仕組み、評価制度をつくることです。理念、行動基準、評価制度というサイクルを回していくことを行っています。私が感じているところではチェーン店でうまく行っていないところは理念倒れになっているところが多い気がしています。
当社がやっていることを具体的にお話しましょう。
当社では、理念に沿った行動基準をSTP(Stage up Training Program)というマニュアルに落とし込んで運用しています。これはポジションごとにステージを分けてどのような行動をしたらいいのかを具体的に表現したマニュアルとなっております。結構細かく分けていますので10数冊あります。1冊は薄いですけれど、中身は意外と濃いんですよ。
サーバー担当者であれば、サーバーの動き、挨拶の仕方、使う言葉も全て決まっています。例えば、ドリンクをお出しする際には、「 生ビールをお持ちいたしました。ありがとうございます。」 と一言の言いながらお客様と ” アイコンタクト ” をしましょうとか結構細かく記述しています。
そして、マニュアルの最後には認定という項目があります。これが評価に当たります。マニュアルという行動基準に対して各自がどのくらい理解をして行動できているかを評価します。認定には60数個の項目があって、認定率を算出して評価につなげていきます。
このマニュアルは外部につくってもらったわけではなく、全て自社でつくりあげました。例えばサービスのマニュアルは、感じの良い子を選出してつくりました。といっても良くわからないですよね(笑)。
感じの良い子にサービスしてもらうとお客様は喜んでくださいますよね。感じの良い子は何故感じがいいのかというと、感じの良い行動をしているだけなんですよ。じゃあ感じの良い行動とはどういう行動なのかを分析してマニュアル化すれば皆が感じの良い行動ができるようになると考えました。
感じの良い子をどの様に選んだかというと、社内でサーバーの ” 笑顔コンテスト ” というのをやったのです。賞金総額20万円で(笑)。選出方法はいたってシンプルでお客様からのアンケートで最多得票数を得た人が1位で1000票余りの得票がありました。このトップの子が 「 何故感じがいいんだ 」 と徹底的に分析をして、文章にまとめて行動できるように落とし込んだのです。その一つが、「 コーラでございます 」 チラッ、「 生ビールでございます 」 チラッとアイコンタクトをするという事だったんですね。ここまで大げさにはやりませんが(笑)。このように ” 感じが良い ” ” 人気が出る ” 所作で あったり、会話をマニュアル化したのです。
飲食店をやるなら、私たちはお客様を絶対に喜ばせよう、お客様に 「 あなたに会えて良かった 」 と言っていただけるようなレストランにしようというのが理念、経営理念じゃないですか。ではどうやってお客様に喜んでいただくのかという行動基準を文章に落とし込んだのがSTPマニュアルです。STPマニュアルに沿った行動が取れているかと評価するのが認定制度で、この認定制度というのはインセンティブ、つまり給与に直結している制度にしているのです。
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