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【プロ野球】マー君 感動 完投 楽天仙台 開幕飾った2011年4月30日 紙面から
◆楽天3−1オリックス楽天が、マー君が、仙台に希望の1勝を届けた。Kスタ宮城で待望の本拠地開幕戦が行われた29日。満員の観客でスタンドが埋め尽くされた中、若きエース・田中将大投手が気合満点のピッチング。序盤の3点のリードを守りきり、1失点で完投勝利した。被災地の東北を元気づけ、勇気づけた凱旋勝利。復興へ、力強く踏み出す1勝だ。 タ・ナ・カ、タ・ナ・カ−。スタンドを埋め尽くす白いジェット風船が、大音響の田中コールとともにさざ波のように揺れる。9回2死二塁、楽天の田中はいったんマウンドを外すと、2万613人に膨らんだ満員のスタジアムをぐるりと見渡した。 「このまま投げきってしまうと(この大声援が)終わってしまうのがもったいないなと思って。この空間にいることが野球人として幸せに感じる」 駒大苫小牧高時代に早実の斎藤(現日本ハム)と死闘を演じた2006年夏の甲子園決勝など球史に残る名勝負を繰り広げてきたが、ここまでファンの歓声に支えられ、パワーをもらったことはほとんどなかった。 「マサヒロ(田中)コールで力をもらったという実感がする。スタンドがファンで埋め尽くされた状態にじーんと胸にきた。何としても勝ちたかった」と感無量の田中。最後は前田大を137キロのフォークで投ゴロに料理し、6安打1失点、138球で完投。ゲームセットの瞬間は拳を強く握り、地元開幕戦を白星で飾った。 「チームみんながこの日を待ちわびていた。特別な試合になると思って準備してきた。いつも以上に勝つんだという気持ちが強かった。その気持ちで初回からマウンドに立った」。東日本大震災が発生してからちょうど50日目。テレビや新聞の向こう側には苦難に真っ向からぶつかっている被災地のファンがいる。だからこそ自分も逃げるようなピッチングだけはしたくなかった。 2点リードの8回2死二塁、一発で同点となる場面で迎えたのは主砲T−岡田。3ボール1ストライクの不利なカウントを招いても「カウントが悪くなったから『ハイ、歩かせよう』は嫌い。全部勝負にいった」。その後も果敢にストライクを取りに行き、最後は143キロのスプリットフィンガードファストボールで空振り三振に仕留めた。 球場前には著名人に並んで田中の直筆メッセージが控えめに飾られてある。そこに書かれていたのが「共に頑張ろう」という言葉。ファンを支えたい自分がいるし、ファンに支えられている自分もいる。「こういう結果になってうれしい。ファンの皆さんと一つになって勝つことできた。これからも一つでも多く勝ち続けたい。チーム一丸となって勝ちを積み重ねていきたい」 楽天の勝利が少しでも日々の生活の糧となってくれれば。ファンの強い後ろ盾を得た田中はこれからもほえまくる。(鶴田真也) PR情報
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