昨季王者の名古屋グランパスは、玉田の2ゴールで川崎を下し今季初勝利。柏は甲府に2−1で逆転勝ちし、開幕3連勝。鹿島は福岡を、大宮は神戸を破ってともに今季初白星を挙げた。福岡は3連敗。G大阪は山形を3−2で破った。横浜Mと清水、C大阪と新潟、磐田と広島はいずれも引き分けた。今季初のホーム試合となった仙台は浦和に1−0で快勝。開幕戦で引き分け後の連勝とした。
◆名古屋2−0川崎
チームメートの祝福を一身に浴びると、玉田はストイコビッチ監督の元に一目散に駆けだした。固い抱擁を交わし、大きく両手でガッツポーズ。「復帰初戦にスタメンで使ってくれた」。指揮官の信頼がうれしかった。前半24分、先制ゴールで信頼に応えてみせた。右膝痛での1カ月以上のブランクを感じさせなかった。「とっさに体が動いた」。千代反田からのロングボールをケネディが落としたところを相手DFを振り切って、右足で泥くさく押し込んだ。
追加点も玉田だった。川崎に押し込まれていた後半37分。「防戦一方だったがワンチャンスを狙っていた」。ゴールへの意識を研ぎ澄ませ、ケネディのヒールパスに左足でトラップし、今度も右足でシュートした。初めて一緒に先発した永井は「けが明けで、あり得ないパフォーマンス。左足でシュートを打つと思ったら切り替えて右でシュート」と舌を巻いた。利き足の左ではなく右足の2得点に、玉田は「ことしはもう右足で決めることはないでしょう」と冗談めかした。味方も欺く鮮やかなゴールで、相手に傾きかけた試合の流れを引き戻した。
欠場した24日の浦和戦(埼玉)はテレビで見た。「浦和の調子も良かったけどウチが乗せたところもあった」。もどかしい思いをこの日のピッチでぶつけた。「きょうも内容が良かったわけじゃない。でも気持ちは相手に負けてなかった」
予想外に痛みが引かない間に永井や金崎、吉田ら若手が次々とチャンスをつかんだ。それでも玉田は「まだ若い選手には負けない」と笑った。焦りよりも「早くサッカーをしたい」という欲求は強くなっていた。
グランパスはこの試合が始まる前、17位に沈んでいた。「下にいるのは気分的に良くない。続けていくことが大事。次も勝ちたい」。2005年以来、6年間白星がなかった苦手の川崎を完勝で退けた勢いを止めるわけにはいかない。ピッチに戻ってきた玉田が、昨年のJ1王者復活ののろしを上げた。 (伊東朋子)
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