東京電力の福島第一原子力発電所では、巨大地震の余震による津波の再来が懸念されていることから、応急的な措置として、高濃度の汚染水の保管や処理を行う施設の周辺から、順次、岸壁に土のうを積んで備えることになりました。
先月の巨大地震の余震が相次いでいることを受けて、東京電力は、津波の被害を受けて原子炉の冷却ができなくなる事態を避けようと、非常用の発電機を高台に移すなどの対策をすでに終えましたが、津波から施設を守る対策は進んでいません。東京電力が検討した結果、緊急の措置として、敷地内の岸壁に数メートルの高さまで土のうを積み上げて、できるだけ被害を抑えることになりました。作業が最も優先されるのは、「集中廃棄物処理施設」と呼ばれる施設に近い岸壁で、ここでは、現在、高濃度の汚染水の移送作業が進められているほか、ことし6月からは汚染水の処理施設として稼働する予定です。この施設が津波に襲われると、汚染水が海水に混じって流出するおそれがあるうえ、処理が機能しなくなって原発全体の復旧が進まなくなるおそれもあり、東京電力は、この施設の周辺から順次、作業を急ぐことにしています。一方、先月の巨大地震では、津波の高さが最大で15メートルに達し、土のうでは抜本的な対策にならないことから、東京電力は、岸壁に防波堤の整備を進める方向で検討しています。