29日の衆院予算委員会で、福島第1原発事故を巡る東京電力の賠償責任免除を求める質問を自民党の吉野正芳氏が行った。原子力損害賠償法には「異常に巨大な天災地変」時は免責する規定があり、吉野氏は「莫大(ばくだい)な災害が起きた場合に東電の責任を無視して全部国がみる規定になっている。東日本大震災を過小な災害と認定するのか」として国が一義的に責任を負うよう主張した。
菅直人首相は「財源は国民の税金。国がすべての賠償責任を負うのは違うのではないか」と答弁。枝野幸男官房長官も記者会見で「国会などでも大津波によって事故に至る危険性が指摘されていた。免責条項に当たる状態ではないと明確に言える」と否定した。
吉野氏の主張について自民党の石破茂政調会長は「東電の社会的責任を認識したうえでの発言と理解している」と説明、免責の是非については明言を避けた。東電側は清水正孝社長が28日に「そういう理解があり得る」と述べるなど、免責条項の適用を求める姿勢もちらつかせている。【平田崇浩】
毎日新聞 2011年4月29日 19時44分(最終更新 4月29日 22時18分)