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FGT・長崎ルート「必要性は」 費用対効果の新試算 | ||
国交省が28日に明らかにした九州新幹線長崎ルートの「実態に即した形」の費用対効果の試算には、フリーゲージトレイン(FGT)の新大阪への直通本数など、まだ不透明な要素も多い。さらに厳密な試算が求められるが、事業を推進してきた佐賀県も新たな説明を迫られる形になった。
実態に即した今回の試算で、長崎ルートの実像がより見えてきた。だが、新大阪へのFGT直接乗り入れは1日30本(15往復)で試算。鹿児島ルートの直通運転の実績を基にしているが、速度が遅く、車両も重いFGTを同一視していいのか疑問は残る。
さらに、FGTは新大阪まで乗り換えの必要がなく、乗客需用が増加すると予測している。しかし、博多で「のぞみ」に乗り換えるスーパー特急の方が時間短縮効果は高く、「遅いFGT」の利用が増えるとは考えにくい。
同省施設課は、新大阪までのFGT直通本数を減らした場合の費用対効果について「評価が低くなるのは当然だが、現段階では鹿児島ルートの実績以外に試算する根拠がない」と否定的な考えを示す。時短効果の低さも「FGTは現在の開発目標速度であり、今後、向上も期待できる」とするが、FGT開発は在来線のカーブ区間の走行性能確保が難航、高速化を求める環境にはないのが現状だ。
佐賀県はこれまで、新大阪への直接乗り入れのメリットを強調し、FGTによる長崎ルート整備の必要性を訴えてきた。同ルートの総事業費は今回の試算で2900億円に増え、県の負担額も増加分を単純計算した場合、200億円を超える。県には今回の試算を踏まえ、「なぜFGTなのか」「なぜ長崎ルートが必要なのか」について県民の理解を得る丁寧な説明が求められる。
■「1を超えることが大事」 JR九州・唐池社長
JR九州の唐池恒二社長は28日、国交省が九州新幹線長崎ルートの費用対効果を過大評価していた問題で「費用対効果は『1』を超えることが大事」と妥当性を主張した。
福岡市の本社で会見した唐池社長は今回の試算について「私どもは全く関わっていない」とし、フリーゲージトレイン(FGT)の開発目標以上の速度設定には「誤解を招くような前提はいかがなものか」と感想を述べた。
試算は山陽新幹線に乗り入れる長崎-新大阪間の直通運転を1日30本(15往復)としている。全線開業した鹿児島ルートの直通運転が1日30本で運行を開始しており、長崎ルートでの実現性は「分からない。JR西日本などと調整が進まないと本数は言えない」と語った。 |
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2011年04月29日更新 |