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フリーゲージトレインとスーパー特急
通常の新幹線は「フル規格」と呼ばれ、高速走行に対応したトンネルや路盤に線路幅1435ミリの標準軌が敷設される。スーパー特急は路盤などの構造は新幹線と同じだが、線路幅は在来線と同じ1067ミリで、在来線と同じ車両が走る。最高時速200キロとされているものの、200キロで実用運転できる車両は開発されてない。フリーゲージトレインは、車輪の幅を変えて在来線と新幹線の両方を走行できる特殊な電車。西九州(長崎)ルート用に開発しているが、構造が複雑で開発が遅れている。
(2011年4月29日掲載)
フリーゲージトレイン スーパー特急より遅く 長崎ルート 国交省再計算 時短効果なし
九州新幹線西九州(長崎)ルートに導入を目指すフリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)について、国土交通省が開発目標速度に沿って時間短縮効果や費用対効果を再計算したところ、長崎-新大阪、長崎-博多ともスーパー特急方式より所要時間が長くなることが28日分かった。国交省はこれまで、FGTは乗り換え不要で時短効果が大きいと説明してきたが、その主張が崩れた。FGT開発への疑問が高まりそうだ。
国交省は見直した費用対効果を4月1日に公表した際、開発目標速度270キロのFGTが時速300キロで山陽新幹線に乗り入れ、新大阪まで走る想定で便益を膨らませていた。西日本新聞の指摘を受け、山陽新幹線区間は時速270キロ、新線建設中の武雄温泉-諫早と在来線は時速130キロの開発目標を前提に運行した場合の効果を再計算した。
その結果、レール幅が異なる新幹線区間と在来線区間の軌間変換に必要な3分を加えたFGTの所要時間は長崎-博多1時間33分、長崎-新大阪4時間13分となった。ともに現行より15分短縮となるものの、4月1日に「1・5」と公表した費用対効果は「1・3」に下がった。
一方、スーパー特急方式は、新線区間を時速160キロ、他の在来線区間を時速130キロと想定すると長崎-博多が1時間30分になりFGTより3分短くなった。博多駅での乗り換え時間7分を足した長崎-新大阪は4時間8分で、こちらも5分早くなった。費用対効果は「1・1」のままだった。
国交省は、FGTの方が費用対効果が高い理由を「列車の乗り換えがないのは、30分の時間短縮に見合う効果があるから」と説明。しかし、FGTの山陽新幹線乗り入れが実現しなければ博多駅で乗り換えが必要になり、費用対効果がスーパー特急の「1・1」を下回る可能性もある。
大畠章宏国交相は同日の記者会見で、1日に公表した費用対効果が過大だったことを認めたものの「再計算した1・3は妥当な数字」と事業継続に問題ないとの認識を示した。