原発事故に立ち向かう作業員らを、海外メディアが「フクシマ50」とたたえたが、彼らは食事や睡眠も満足にとれない過酷な環境にいた。そんな“最前線”に女性も混じっていた。
東電によると、福島第1原発の所員の50代女性1人が3月11日の事故以降、17・55ミリシーベルトの放射線量を被曝していることが27日に確認された。これは国が定めた限度「3カ月で5ミリシーベルト」の約3倍超。医師の診察で、健康に影響はないという。
福島原発ではこの女性も含め、10〜50代の19人の女性社員が働いていたが、さらに2人が限度を超過した可能性がある。
事故発生後、女性社員は、屋外で消防ポンプ車への給油作業、消防隊の誘導・案内、免震重要棟内での作業に当たっていた。屋外作業で2・06ミリシーベルト、屋内作業で1・89ミリシーベルトを、さらに内部被曝が13・6ミリシーベルトあった。
女性はマスクをつけていたが、放射性物質がマスクの隙間から入ったり、マスクを外す際に免震重要棟内で吸うなどしたらしい。
女性社員らは3月22日から被曝線量を測り始め、23日に茨城県内に移動した。内部被曝の線量を測るには、周囲の放射線量が低いことが必要なための移動という。
さらに同24日に免震重要棟内の放射線量を測定したところ、女性が滞在しないほうがいいと判断、女性社員らはそのまま福島原発では勤務しないことになった。4月27日午前6時半現在、同原発では男性ばかり229人が作業中という。
放射線業務従事者の通常の被曝線量限度は「5年間で100ミリシーベルトを超えず、かつ、年間50ミリシーベルトを超えない」と定められており、事故後は「5年間で250ミリシーベルト」に引き上げられた。ただ、妊娠の可能性がある女性は限度が低くなっており、事故後も据え置かれたままになっている。
東電はこれまでも管理がずさんだとして原子力安全・保安院からたびたび指示や注意を受けており、27日の事故対策統合本部でも、原子力安全・保安院から原因究明と是正策を求められた。
東電福島支店は同日の会見で「管理を厳密に行わなければならなかった。認識が甘かった」とした。
(紙面から)