[PR]三原じゅん子の無料ダイエット!


ちまたの旬な話題から、日本の未来像を問うテーマまで。


東京電力は日本政府を訴えるべき

橘玲 公式サイト

橘玲 プロフィール


このプリンシプルを否定して社債の保護を求めるのなら、そもそも金融市場に参加する資格はない。そのような主張をする金融機関や機関投資家は、さっさと廃業すべきだ。

「東京電力の社債を保護するのは金融市場を守るためだ」という政治家がいるようだが、これはとんでもない勘違いだ。投資家が自己責任を問われず、税金で損を穴埋めしてもらえるのなら、そんな国にまともな金融市場が生まれるはずはない。

もちろんこれは、東京電力の株主や債権者にとって厳しい選択だ。だが彼らには、合法的にこうした負担を逃れる道が用意されている。

原子力損害賠償法では、異常に巨大な天災地変や社会的動乱による損害については電力会社の責任を免責する、との規定がある。官房長官は「安易な免責はあり得ない」と記者会見で政府見解を述べたが、日本は法治国家なのだから、法の解釈は政府ではなく司法が行なうべきだ。

東京電力の所有者である株主は、原子力損害賠償法にもとづく免責を求めて裁判に訴えるよう、取締役会に指示すべきだ。取締役会がその指示に従わない場合は、自らの利益を守るために、現経営陣を解任すればいい。東京電力は私企業であり、政府の所有物ではない。

東京電力が日本政府を訴えれば、裁判の過程において、今回の原発事故の責任がどこにあるのかが明らかになるだろう。そもそも日本の原発事業は政治家、官僚、重電メーカー、大学(原子力専門家)、地方自治体などの利害によって進められてきた。彼らの責任を不問にしたまま、すべてのツケを支払わされるのは不当だと、東京電力は裁判で堂々と主張すればいい。

日本政府は、東京電力の賠償に上限を設けるような安易な救済をせず、資本主義の原則に則って株主と債権者の責任を厳しく問うべきだ。そうなれば東京電力の株主および債権者は、法治国家の原則に則って、免責を求める裁判を提起するだろう。

こんな当たり前のことすらできないのなら、日本政府は、「この国には資本主義も法治もない」と国民に対して正直に説明すべきだ。
12

このニュースを共有

BLOGOS on

BLOGOSをスマホで見よう

スマートフォン版
アプリ版BLOGOSをダウンロード(無料)
ケータイ版
QRコード
携帯サイトのQRコードはこちら
http://n.m.livedoor.com/blogos/

ネットマガジン

close なぞり検索

検索リスト

この機能をOFFにする