ナルコレプシー(居眠り病)はこんな病気

2001/04/08a 更新


『暮らしと健康』(保健同人社)平成5年8月号 集中特集より

  会社で重大な会議をしているとき、新入社員が突然眠ってしまったら、あなたはその社員のことをどう思うでしょう。「たるんでる」「緊張感が足りない」など、その人に対する評価を下げるでしょう。
 ナルコレプシー(居眠り病)の患者さんたちは、不眠に悩む人からは「眠れないほうがずっとつらいよ」と羨ましがられ、医者からも「よく眠れるんだからいいじゃないか」と言われたりします。
 しかし、ナルコレプシーには特有の苦しみと辛さがあり、さらにこのような無理解や誤解、偏見がつきまといます。千人に一人ぐらいはいるので、患者さんがいることは十分考えられます。 
診断がついて正しい対処さえできれば、こわい病気ではありません。ナルコレプシーに是非正しい理解をもっていただきたいものです。

  秋田大学医学部 教授・精神科 菱川 泰夫(ひしかわ やすお)氏
  神経研究所付属 晴和病院院長 本多 裕(ほんだ ゆたか)氏

■以上のお二人の方々にお話をうかがい、編集部でまとめました。
(五十音順)

<解説>
 この記事は、保健同人社のご了承を頂いてなるこ会青年グループのメンバーTがHP用に編集し、また解説を追加したものです。


「ナルコレプシー」への理解は遅れている

  1. 主症状は「何ヶ月も続く、日中の居眠り」
  2. 「怠け者」のレッテルを張られることも多い
  3. 本人にも病気であることの認識が乏しい
  4. 理解を得られず退職や転職を余儀なくされる人も
  5. 患者会や社会的サポートが生活上の悩みを軽くする
  6. 時間を自由に使える仕事や、昼寝時間の配慮を

症状は日中の眠気だけではない

  1. 日中の強い眠気以外にもこんな症状があらわれる
  2. 情動脱力発作(興奮したときなどに体の力が抜ける)
  3. 入眠時幻覚(寝入りばなに鮮明なおそろしい夢をみる)
  4. 睡眠麻痺(幻覚にともなう金縛り状態)
  5. 自動症(自動症様行動)
  6. 夜の熟睡困難

睡眠リズムが乱れる原因はまだ、不明

  1. 覚醒と睡眠リズムが乱れて、睡眠障害をおこす
  2. レム−ノンレム睡眠のリズムも乱れている
  3. 睡眠のリズムの中枢に障害があるのでは?
  4. 発病には遺伝子が大きくかかわっている

生活のコントロールと薬物療法を根気よくつづける

  1. 睡眠障害に詳しい精神科を受診する
  2. 規則正しい生活を心がけ、昼寝をする
  3. 夜は眠れるくすり、昼は眠気を覚ますくすりを
  4. だんだん軽減する例が多いので、根気よく
  5. くすりは長期に飲んでも、ただしい服用をすれば心配無用