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首相、東電の賠償免責を否定 国の責任にも言及

2011年4月29日21時0分

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 菅直人首相は29日の衆院予算委員会で、福島第一原発の事故で東京電力に賠償金を支払う責任があると明言した。「東電に賠償責任はなく、国がすべて負うというのは違う」と述べ、原子力損害賠償法(原賠法)の免責事項にあたるとする東電の主張を否定した。

 原賠法には「異常に巨大な天災地変」で損害が生じた場合、事業者は責任を免れるとの規定がある。東電の清水正孝社長は、東日本大震災がこの規定に該当する可能性があるとの見方を示していた。

 首相は「規定をそのまま認めることは、東電を免責することを意味する。東電には賠償の面で第一義的な責任はある」と述べ、被害者への賠償責任は東電にあると強調。海江田万里経済産業相は免責されるケースについて、過去の政府答弁を引用して「超不可抗力、全く想像を絶する事態、人類が予想していないもの、とある」と説明。今回の震災はあたらないとした。

 枝野幸男官房長官も29日の記者会見で「福島第一原発が大きな津波で事故に陥る可能性は、国会などで指摘されていた。免責はとても考えにくい」と述べた。

 首相は一方で、「原発推進の立場で取り組んできた国の責任も免れない」と語った。「政治的、行政的な意味を含め、適切に(賠償が)支払われるよう責任を持ちたい」として、賠償金の支払いが滞らないよう国が関与していく考えを示した。

 原賠法は、事故を起こした原子力事業者に無限責任を負わせているが、数兆円に上るとみられる賠償金を円滑に支払うため、菅政権は官民で「機構」を新設する枠組みづくりを検討。細部を詰めて5月の連休明けにも公表する方針だ。

 震災復旧に早急に必要な1次補正を早期に成立させるため、この日の衆院予算委は異例の休日開会となった。4〜5月の大型連休中に衆院予算委が開かれるのは、戦後初めて。

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