口蹄疫(こうていえき、学名 Aphtae epizooticae、英語: foot‐and‐mouth disease、通称FMD)は、家畜の伝染病のひとつ。偶蹄類(牛、水牛、山羊、羊、鹿、豚、猪、カモシカなど)やハリネズミ、ゾウなどが感染するウイルス性の急性伝染病。日本では家畜伝染病予防法において家畜伝染病に指定されており、対象動物は牛、水牛、鹿、羊、山羊、豚、猪。旧国際獣疫事務局 (OIE) リストA疾病(2005年5月にOIEのリスト区分は廃止された)。
この病気は伝播力の高さ、罹患した動物の生産性の低下、幼獣時の高い致死率(成獣での致死率は数パーセント)という特徴を持つ。罹患した家畜は他の家畜への感染拡大を防ぐために、先進国では発見され次第殺処分される。また他地域の家畜への伝播を防ぐため、地域・国単位で家畜の移動制限がかけられることから、広い範囲で畜産物の輸出ができなくなってしまう。これらによる経済的被害が甚大なものとなるため、畜産関係者から恐れられている病気である。
アジア、中東、アフリカ、南米地域を中心に毎年世界各地で発生している。発生状況についての詳細は国際獣疫事務局のデータベースを参照のこと(2005年以降発生地マップ、2005年以降発生地別件数リスト)。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A3%E8%B9%84%E7%96%AB
治療・殺処分 [編集]
本疾病に対して治療が選択されることは基本的に無い。
致命的な病気ではないが、前記のとおり偶蹄類が感染する伝染病の中でも最も伝染力が強く、蔓延すれば畜産業界に経済的な大打撃を与えかねない疾病でもあるため、患畜として確認され次第、家畜伝染病予防法に基づいて全て速やかに殺処分される。
殺処分は、狂犬病のような第17条第1項による都道府県知事の権限ではなく、第16条第1項に基づく家畜保健衛生所の家畜防疫員の指示により、患畜と確認され次第、直ちに行われる。この指示書も第17条第1項に基づく『殺処分命令書』ではなく、第16条に基づく『と殺指示書』という形式で発せられる(命令の内容および効力に事実上差は無い)。
2010年5月現在、PCR診断が陽性だった場合に最終確認を待たずに殺処分される(もっとも処分が間に合わずに、待機患畜が1週間以上生きたまま農場にいる場合も多く(5月8日現在約3万頭)、豚の感染性の高さを考えると危険である)。
消毒 [編集]
農水省が発表した情報を独立行政法人 動物衛生研究所がまとめた「日本の口蹄疫情報」の中で、「口蹄疫防疫に使う消毒薬の作り方」として「4%炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)(Na2CO3)液」を挙げ、ホルマリンおよび他の消毒剤と混ぜないこと、容器は金属製、ポリエチレン製いずれでもかまわないことが付記されている[9]。また、「海外悪性伝染病防疫要領」に記載されているその他の消毒薬」として、2%苛性(かせい)ソーダ (NaOH)(水酸化ナトリウム)、2%苛性カリ(KOH(水酸化カリウム)、10%ホルマリンを挙げている。
市販消毒薬で、口蹄疫ウイルスに対する明らかな効果が認められたものは下記の通り(濃度は外部リンク先参照)[10]。