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【社会】

拡散予測の公表自粛に反発 気象学会理事長の声明

2011年4月29日 16時43分

 福島第1原発の事故で放出された放射性物質の拡散予測を公表することを控えるよう、日本気象学会の新野宏理事長(東京大教授)が学会員向けに要請、これに対する反発が学会内に広がっている。

 理事長は3月18日付で、学会のホームページで学会関係者が不確実性のある情報を出すことは「いたずらに国の防災対策に関する情報を混乱させることになりかねない」と指摘。「防災対策の基本は信頼できる単一の情報に基づいて行動すること」と、放射性物質の拡散予測結果などの公表を控えるよう求めた。

 新野理事長は要請の意図について「予測が公表されると、一般の人がパニックになる恐れがあった」と話す。

 これに対し「危機的状況だからこそ予測を発表して政府を動かす必要がある。科学者としての各人の役割があるはずだ」と言うのは気象学会員の山形俊男東京大教授。「学会は官僚主義的になってしまっている」と指摘する。

 理事長は4月11日付で「メッセージの補足」を発表。「情報一元化の原則」は危機的状況の際に適用するべきで「放射性物質の放出が長期化している現状では適用するべきではない」と、釈明とも取れる見解を示した。

 国内の正式な拡散予測である「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の結果発表や、気象庁が拡散予測を国際原子力機関(IAEA)に報告した後も、国内向けには公表していなかったりと、公的な情報提供の遅れが問題化しているだけに、今後、学会内で成果の発表の在り方が議論になりそうだ。

(共同)
 

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