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他人の不幸をメシの種とする狂信的市場原理主義過激派タレコミニスト
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2009 年 09 月 14 日
AM 01:33
日記

2月のニュースになるが、世界最大の原子力複合企業である仏Areva S.A.が、インドの国営原子力独占企業NPCILとの間で核燃料の長期供給契約を締結した。米印原子力協定の締結で、NPT非加盟で長年国際市場へのアクセスができなかったインドは、最近急激に海外の原子力大手との接近を図っているが、フランスの動きもまた急激である

まず、動きとしてはAreva社は昨年アルセロール・ミタルと原子力プラント向けの構造材の合弁を発表した。アルセロール・ミタルはルクセンブルグ籍であるが、元々はインドを起源とするミタル・スチールがアルセロールを買収して成立した世界最大の鉄鋼グループである。Arevaにとっては、今後急増するプラント構造材の安定的な提携先を見つけたことになるが、むしろ915後の需要急減で痛手を被ったアルセロール・ミタルにとってメリットが大きい

続いて、その直後にNPCILとの間でArevaは1000MW分の原子炉供給契約を締結した。Areva製のPWRをターンキー契約で供給するもので、炉形式については今後詰めることになるが、対印原子力解放後の最大の契約となる

そして、2月の核燃料供給契約である。Arevaは、元々フランスの国営原子力プラント企業フラマトムと、独ジーメンス原子力部門、そして国営核燃料会社コジュマ社が合併して誕生した原子力複合企業であり、燃料加工や再処理だけでなく、ウラン鉱権益までも保有する巨大企業である。一方で、インドは15基の商業炉を有するものの、原子力開発に関しては1960年代末にGE製BWR2基を導入した以外は、軽水炉を有しておらず、残りはすべて独自開発の加圧水型重水炉である。その最大の理由が、核燃料供給体制の欠如である

インドは、世界最大のトリウム資源が存在しているが、ウラン資源の国内産出量は極めて少なく、国際市場へのアクセス手段を欠いていたために、極端な核燃料不足に陥っている。そのため、国策としてトリウム燃焼が可能な重水炉開発に力を入れていたが、急激な経済発展が重水炉一辺倒な政策を転換させる要因となっている。インドは、中国と同じく国内に石炭資源を有しているが、資源は内陸部に集中する一方で、発電や製鉄などの需要者は沿岸部に集中しており、石炭資源国であるにも関わらず、石炭の輸入比率は年々高まっている。内陸部の石炭を、沿岸部へ移送するインフラ整備や、ヒマラヤ山岳地帯における水力発電開発も進めているが、実態としては石炭資源の奪い合いが現状で、電力インフラの安定化のためにも、海外からの原子力プラントの輸入と、核燃料の安定確保による原子力発電プラントの稼働率上昇が求められていた

一方のArevaも、これまで主要な需要者であった仏EDF社のプラント建設が一巡し、新規のプラント建設先をフランス圏以外に求めるようになった。これまで、アメリカやドイツ、フランスのプラント補修向け事業を拡大していったが、新規プラント建設先として海外市場の開拓に積極的であり、新型大型炉では三菱重工と提携する一方で、途上国向けに新型の中小型炉の開発を推し進めるなど、フランスの国策と連動して中国やインドへ積極的にプラントの売込みを図っていた

今回のArevaのインド原子力産業への食い込みは、フランスの政官経の総合力を見せつけるようなエピソードだ。こうした、Arevaの総合力に対抗するため、東芝WHEはカザフスタン・カザトムプロム社との戦略提携や、英NDAからの核燃料事業買収といった総合力強化に突き動かす原動力となっていると言える

ところで、ブラジルの次期主力戦闘機事業は、大方の見方に反し仏ダッソー社のラファールに電撃的に内定した。ラファールの海外輸出は初めてのことだが、キックバックとしてフランス政府はブラジル政府が推進する、世界第三位の航空機企業エンブラエル社の中型戦術輸送機C-390の購入契約と開発参加を表明した。次期主力戦闘機事業に関しては、生産プラントの閉鎖が迫っているボーイングF-18や、SAAB/BEAグリペンが、生産ラインの移管を含め大幅な譲歩案を提示した中の受注である。ブラジルの大型公共事業をめぐっては、高速鉄道建設計画でTGVを有するALSTOM S.A.と、日本のJR連合が激しい受注合戦を演じているが、ここでもフランスの総合力を垣間見た気がしなくもない

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