広島市の松井一実市長(58)は14日、就任後初めての記者会見で、旧広島市民球場の跡地整備計画の再検討や、折り鶴の長期保存施設の不要論を述べ、秋葉忠利・前市長(68)が進めた事業の転換を明言。「松井カラー」をアピールし、12年ぶりの市政トップ交代を印象づけた。
松井市長は「初めての記者会見なので」と、緊張した面持ちで市役所11階の会見室に登場。会見が進むにつれ、随所で広島弁が出る場面もあり、地元出身らしい一面を見せた。
松井市長は旧市民球場跡地を巡り、「(旧球場がある)紙屋町と、八丁堀の周辺は、JR広島駅周辺とともに広島市街地の目玉。十分な議論の時間をとる」と語った。跡地では13年春、全国菓子大博覧会開催が予定されている。それまでの約2年間で検討委員会などを設置し、活用方法について再検討する考えを示した。「若者を中心としたにぎわいの場とするため、何が良いか議論し直してほしい」と話した。
平和記念公園の原爆の子の像にささげられる折り鶴を長期間保存する「折り鶴ミュージアム(仮称)」構想では「保存が正しいやり方ではない」と断言。「(折り鶴に込められた)思いがよみがえるような方法を考えないといけない」と述べ、再生紙にする活用などを提案した。現在、約1年分の折り鶴を展示する旧日本銀行広島支店(中区)についても、活用方法を「再検討する」と話した。
県営広島西飛行場の問題では「なぜヘリポート化をしないといけないかの理由を(県知事に)聞き、それが市営化を求めている人が納得できる内容、状況なのかを検討したい」。就任式のあいさつで掲げた「風通しの良い職場」については、職員、議会、市民の三つの観点で雰囲気作りを考えたいとした。【寺岡俊】
毎日新聞 2011年4月15日 地方版