五輪を核廃絶に向けたシンボルと位置付けようとしたが、商業主義やメダル至上主義など、五輪が本質的に抱える問題は棚上げされ、独りよがりのままで終わったように感じる。
JOCの責任も大きい。国際オリンピック委員会(IOC)が開催地に求めるものは、世界最高のスポーツエンターテインメントを繰り広げられる舞台の提供で、それを支える確固たる財政だ。
しかし、ヒロシマ五輪は約1000億円の寄付金収入に頼る財政計画で、IOCが認めるはずがない。それを認識しているにもかかわらず指導せず、広島市に立候補を促すような発言をしてきたJOCの行為は、広島市民に対する裏切りと言っていい。
毎日新聞 2011年4月21日 地方版