食いついたワニを引きずる母親ゾウ
ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 11月12日(金)15時18分配信
攻撃を受けながらもゾウの親子はなんとか水から離れたが、ワニは母親ゾウの鼻に食らいついたままだ(写真)。撮影したニーフェラーさんによれば、国立公園のガイドたちもこのような光景は見たことがなかったという。
いかに獰猛なナイルワニでもゾウを倒すのは容易なことではない。サンディエゴ動物園の爬虫両生類学の学芸員ドン・ボイヤー氏は、この奇襲は空腹に耐えかねて取った行動か、単なる間違いだったのではないかという意見だ。「捕食動物にも間違いはある。何かに襲いかかったものの、しまった、やめておけばよかった、ということもあるだろう」。
(Photograph courtesy Martin Nyfeler)
ワニに襲われたら頭を叩けば口を開けるとか言われてなかった?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101112-00000003-natiogeop-int.view-000
恐竜を襲う巨大な古代ワニの生態
Brian Handwerk
for National Geographic News
March 24, 2010
現在のアメリカからメキシコ北部にまたがる地域に生息していた史上最大級と目されるワニ、デイノスクス(学名:Deinosuchus)。ラテン語で「恐ろしいワニ」と呼ぶその生態の一部が、糞石(糞の化石)と獲物の骨に残された特徴的な歯形から明らかになった。体長が10メートルかそれ以上もあったとされるデイノスクスは、自身とほぼ同じ大きさの恐竜も捕食していたという。
先日、約7900万年前のデイノスクスの糞石の調査に当たっていた古生物学者の研究チームが分析結果を公表した。これは、デイノスクスの糞としては初めて発見された化石である。
ここ数年間、アメリカ、ジョージア州の河川域でデイノスクスの糞石がいくつも発見されている。砂や貝殻片が含まれていることから、デイノスクスは河口付近に生息し、ウミガメなどを主食にしていた可能性が高いとみられている。
比較的おとなしい動物を獲物としていたようだが、ジョージア州にあるコロンバス州立大学の学部生サマンサ・ハーレル氏は、「この一帯でデイノスクスが食物連鎖の頂点に君臨していたことはほぼ間違いない」と話す。
研究チームによると、表面に化石化したサメの歯が付着した糞石も見つかったという。ただし消化作用を受けた痕跡がないことから、サメがデイノスクスの糞をあさっていたときに付着したとも考えられている。
骨など動物の体の一部が未消化状態で残る糞石は見つからなかった。ハーレル氏は、「この事実こそデイノスクスの糞石と示す証拠だ」と話す。「現生のワニ類も古代のワニ類も、摂取した獲物は骨、角、歯を含め、ほぼすべて消化してしまう」という。
コロンバス州立大学の古生物学者デイビッド・シュワイマー氏によると、ジョージア州以外のデイノスクスについては、ウミガメよりもっと手ごわい動物を獲物にしていたことを示唆する、さらに古い証拠が見つかっているという。
ティラノサウルス類のアパラチオサウルス・モントゴメリエンシス(学名:Appalachiosaurus montgomeriensis)やアルバートサウルス(学名:Albertosaurus)の骨に、デイノスクスの歯形が残っているのである。ワニが自身とほぼ同じ体長(約9メートル)の恐竜と格闘していた様子がうかがえる。
「発見された歯形の中には治癒した痕跡もあった。恐竜が咬みつかれた後も生存していたことを示している。つまり、生きている恐竜と闘っていたのであって、デイノスクスが死骸をあさっていたのではないとわかる」とシュワイマー氏は話す。
シュワイマー氏は最初、ジョージア州で発見されたウミガメの化石に楕円形の不自然なくぼみを発見した。その後、テキサス州のビッグ・ベンド国立公園やニュージャージー州立博物館で、同じくぼみを恐竜の骨に見つけたのである。
同氏はこう語る。「どのくぼみも、強力なアゴと多数の歯を持つ動物の歯形だとひらめいた。先の丸い歯を持つ巨大なワニ、すなわちデイノスクスのものとね。このような鈍い歯形を残す動物は、このワニ以外にはいない」。
ただ、歯形を根拠にしてデイノスクスの全体像を唱えるのは飛躍しすぎとの意見もある。古代ワニ類の歯形について研究しているアイオワ大学のステファニー・ドラムヘラー氏は、「クロコダイルやアリゲーターなど現生のワニ類やその近縁の絶滅種は、比較的小さな獲物は咬まずに丸ごとのみ込み、大きな獲物は関節部分で引き裂いてから口に入れるという習性がある」としており、その場合は証拠となる歯形がほとんど残らない点を指摘する。「ただデイノスクスのような巨大ワニなら、凶暴な捕食行為も十分に推測可能な範囲だ」とも話している。
ニジェールでスーパークロコダイル(SuperCroc)という約1億1000万年前の巨大ワニの化石を発見したシカゴ大学の古生物学者ポール・セレノ氏は、北アメリカのデイノスクスも含めて巨大ワニは地球上のさまざまな時と場所に出現したという考えを深めたという。
「スーパークロコダイルとデイノスクスは年代的にも別の系統に属している。古いスーパークロコダイルが、まず巨大化の道をたどったようだ」とセレノ氏は話す。
白亜紀末期に生息していたデイノスクスは、スーパークロコダイルよりも現生ワニ類の系統に近い。いずれにせよどちらも絶滅してしまった。巨大ワニはその後どうなったのか。
セレノ氏によると、巨大ワニのオスの成体は、十分な獲物を確保するため川沿いに広大な縄張りを維持する必要があったという。こうした縄張り確保の過酷さによって個体数の増加に歯止めがかかり、獲物が激減した時期に絶滅の難を逃れることができなかったのだという。
「巨大ワニに適した環境も存在したようだが、そうした環境は通常長くは続かないものだ」とセレノ氏は話している。
Illustration by Raul D. Martin, National Geographic Stock
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20100324001&expand#title
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