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津波かぶった写真の修復 洗う前に複写を 仙台の写真家
 | 水に漬かり、色素の一部が抜けた写真(左)と、デジタル処理で修復した写真(tcd東北カラーデュープ提供) |
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東日本大震災で海水や泥水に漬かった写真の取り扱いに、専門家が注意を促している。震災から1カ月以上たち、水で洗うと色素が抜け落ちるケースがある。専門家は「大切な思い出が消えないよう、洗う前にカメラで複写した方がいい」とアドバイスしている。 仙台市青葉区の写真家本田長彦さん(38)は4月中旬から、親類が住む宮城県南三陸町で津波をかぶった写真を修復し、所有者に返却する活動に取り組んでいる。ボランティアが被災地で写真を水洗いする動きも広がっているが、「水洗いで修復できる時期は過ぎた。複写に切り替えた方がいい」と指摘する。 印画紙の感光層はゼラチンが使われ、水に弱い。本田さんは「アルバムのフィルムと写真が密着している場合、無理にはがすと修復不能になる例が多い」と言う。時間の経過と気温の上昇でカビが生え、退色が進むことも懸念される。 写真現像や画像処理を扱う「tcd東北カラーデュープ」(宮城野区)は震災を受け、4月末まで1人2〜3枚に限り、無償で修復サービスを実施している。唯一無二の記念を救済してほしいと、持ち込まれた写真は500枚を超えた。 社長の竹上信武さん(67)は「津波で何もかも流されてしまった今回の災害ほど写真の大切さを感じたことはない。写真の状態によって修復方法はケース・バイ・ケース。迷ったらいったん乾かし、相談してほしい」と話す。 デジタルカメラでの複写は写真表面の汚れをブラシで払い、ストロボを使わずに自然光で撮影する。(1)カメラと写真が正対するよう構える(2)表面が光らず、撮影者の影も映り込まないよう撮影角度を調整する(3)写真がファインダーいっぱいになるよう拡大する―のがポイントという。 連絡先は本田さんがphoto.honda@gmail.com、tcd東北カラーデュープが022(256)2141。(瀬川元章)
2011年04月26日火曜日
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