「自粛ではなく行動」
吉本興業が沖縄国際映画祭開催を決定!
テャリティー重視 東北地方太平洋沖地震の影響により国内のイベントが次々と中止になる中、3月18日から27日まで宜野湾で開催予定の第3回沖縄国際映画祭をチャリティー重視で行うと吉本興業が発表した。
地震発生から芸能、スポーツイベントの中止が相次いでいることを受け、吉本興業では、「自粛」ではなく「行動」することで少しでも被災者の方々の役に立ちたいと考え同映画祭を決行するに至ったことを公表した。
吉本興業の発表したリリースによると、「一番の大きな目的は、被災地から遠く離れた沖縄の地から被災者のみなさまのもとへ、地元沖縄のみなさまや国内外の出演者・関係者からの数多くの『心のつながり』と『エール』をお届けすることです。笑いのあるところには必ず希望が生まれます。『こんなときにあほやな』『考えなしやな』と言われるかもしれませんがわたしたちは、こんなときだからこそ、希望に光りを当てていきたいと真剣に願っております。わたしたちはみなさまの笑顔に育てられてきた『笑い』の会社です。弊社グループ一同、被災者の方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、一刻も早い被災地の復興をお祈りいたします」と結んだ。(シネマトゥデイ) 【雑感】吉本興業の英断を支持する。 吉本興業といえば、むかしNHK朝の連続テレビ小説「
心はいつもラムネ色」が昭和初期の
吉本興業をモデルにしたドラマだった。この朝ドラは伝統的に女性が主人公だが、この「ラムネ色」は漫才作家秋田實をモデルに男性が主人公、新藤栄作氏が務めた。
このドラマで興味深い場面がある。日中戦争時、主人公は漫才師たちを引き連れて戦地の兵士たちを慰問したが、兵士たちは笑うどころか泣き出した。何故だと頭を抱える主人公だが、舞台衣装を変えることで解決する。最初の舞台は軍や会社の指導で軍服風の国民服姿で演じた。ところが、いつもの派手な舞台衣装に戻したら兵士たちは笑い出した。田中好子氏扮するミス・ワカナもカーキ色のジャケットから華やかな振袖に変えた。
国家存亡の臨戦態勢だからといって、全員カーキ色の戦争一色にすると神経が滅入ってくるエピソードである。
今は災害報道一色だが、あまりそれが続きすぎると意気消沈する。緊張感が長時間に及ぶと神経がおかしくなる。時には気分転換に、つらい現実を忘れて笑いを取り戻す必要がある。スポーツを観戦して元気を取り戻す必要がある。日本中が右にならえで災害一色では立ち直るものも立ち直れない。
今回の
吉本興業の判断は正しい。
映画といえば、大地震直後の津波を描いた「
ヒアアフター」と
唐山地震を描いた「
唐山大地震」の上映を自粛する動きがある。たしかにあまりにもタイムリーすぎる作品だ。
ただ、少なくとも西日本では自粛する必要はないと思っている。特に「
唐山大地震」は大阪を中心に西日本限定で上映するべきだと思う。
人の心というのは捻くれたもので、過酷な日々であれば笑い飛ばしたい、浮かれている人にはリアルな現実を魅せて張り倒してやる必要がある。初期のディズニーアニメは大恐慌で荒んだアメリカ人の心を和ませた。「俺たちに明日はない」などのアメリカン・ニューシネマは、USA世界一と浮かれるアメリカ人の目を醒まさす効果があった。ベトナム戦争後の疲弊したアメリカには「ロッキー」のような底辺から這い上がる感動スポ根が必要だった。
今回の地震が起こる前までの日本は、明らかに「
唐山大地震」は鑑賞するべき映画だった。地震や津波の恐ろしさを忘れかけた日本人に必要なリアルな作品である。
被災してしまった東日本では、ただでさえ眼前に廃墟が広がっているのに「
唐山」なんか見たくもないし観る必要も無い。今は映画やスポーツどころではないが、復旧体勢が整ってきたら「笑い」という娯楽が必要になっていくだろう。
私は西日本ではむしろ世間の顰蹙を押し切っても「
唐山」は上映するべきではないかと思う。まだ東日本の現状を他人事のように捉えている大阪人が多いような気がする。
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