2011年4月27日 11時39分 更新:4月27日 13時58分
小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた元秘書の衆院議員、石川知裕被告(37)と元公設第1秘書、大久保隆規被告(49)らの公判が27日、東京地裁(登石郁朗裁判長)であった。中堅ゼネコン「水谷建設」の川村尚前社長(53)が「大久保元秘書から現金1億円を要求され従った。工事を受注でき、元秘書のご協力のたまものと思う」と述べ、小沢事務所に裏金を提供したと証言した。
石川議員らは裏金授受を全面的に否定しており、公判は最大のヤマ場を迎えた。
川村前社長は小沢元代表の地元・岩手県の胆沢ダム関連工事を受注するため、社長就任直後の03年11月に大久保元秘書に面会したと証言。その際に「同業社より遅い」と言われたことから「お近づきになるために(03年の)大みそかにご自宅に伺い、松阪牛と現金100万円を手渡した」「東京・向島の料亭で4~5回接待した」などと元秘書への利益供与を証言した。
裏金については「04年9月、議員会館で大久保元秘書から『計1億円を頂きたい』と言われ了承した。100億円ぐらいの売り上げが見込まれ、採算が合うと思った」と説明。04年10月15日に東京・赤坂のホテルのフロント近くで、二重の紙袋に入れた現金5000万円を大久保元秘書の代理で現れた石川議員に手渡し、05年4月中旬には同じホテルの喫茶店で大久保元秘書に5000万円を手渡したと述べた。裏金を特捜部に供述した理由としては「会社としての反省、申し訳ないという気持ちがあり証言した」と述べた。
検察側は冒頭陳述で「建設業者からの謝礼金授受が明るみに出るのを回避しようとした」と石川、大久保両被告の虚偽記載の動機を指摘している。
石川議員と大久保元秘書は捜査段階から一貫して裏金授受を完全否定。石川議員はこの日の公判で終始、腕組みしたままにらみ付けるように前社長の証言を聞いた。弁護側は前社長の証人尋問について「起訴内容と関係ない」として実施に反対していたが、登石裁判長が犯行動機の背景事情に関連する内容として採用を決めていた。【伊藤直孝、鈴木一生】