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アルツハイマー発症防ぐ抗体作製
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アルツハイマー病の治療方法を研究している弘前大学大学院医学研究科、脳神経内科学講座の松原悦朗准教授(52)らの研究グループが26日、同大で会見し、マウス実験により、アルツハイマー病を引き起こす原因物質を特定し、その原因物質が記憶障害を引き起こすのを防ぐ抗体を作製することに成功したと発表した。同准教授は「今後の研究で人体にも有効なことが確認できれば、アルツハイマー病は将来、予防できる病気になる」と話している。
アルツハイマー病は現在、完治させる治療法がない。これまで世界各国の研究では、脳内のAβ(ベータアミロイド)というタンパク質が複数個まとまった「Aβ重合体」と呼ばれる種類の物質が原因とされてきた。ある特定の構造をしたAβ重合体が神経細胞に入ると、細胞が死滅し記憶障害につながるという。ただし、Aβ重合体だけに効果がある抗体を作ることが難しいため、Aβ重合体が原因物質であると証明するのも困難だった。
これに対して松原准教授のチームは、分子量の違いを利用してAβ重合体を取り出すことに成功。これを基に、同重合体だけに作用する抗体を作製した。アルツハイマー病が発症するよう施術したマウスで効果を検証した結果、抗体を投与したマウスには記憶障害が現れなかった。同准教授によると、今回の研究成果は世界初だという。
記憶障害の原因となるAβ重合体の構造には諸説あるが、同准教授の証明は従来説に該当しない新説だという。同准教授は「予防を目的にした抗体が一般に行き届くようになれば、介護者の負担や医療費の抑制などで社会に貢献できるのではないか」と話している。
松原准教授の研究成果は神経系の米科学誌「Molecular Neurodegeneration」(モレキュラー・ニューロデジェネレーション)に掲載されたほか、製薬会社が研究成果を基にヒト用の抗体作製を目指して研究を続けている。
日本認知症学会理事長の森啓大阪市立大医学部教授(脳神経科学)は「従来説を覆す新しい研究成果であり、混迷している認知症研究に重要な貢献を期待している」と話している。
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