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【第271回】 2011年4月21日
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小澤祥司

【福島県飯舘村・現地レポート】
持続可能な村づくりを奪われた村
――原子力災害の理不尽な実態

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放射能汚染調査チーム

 大阪・熊取町にある京都大学原子炉実験所助教の今中哲二は、3月15日の段階で「福島第一はチェルノブイリのようになる」と確信していた。その後、ぽろぽろと出てくる汚染状況のデータを見て、飯舘村とその周辺に汚染のホットスポットがありそうだと考えていた。

 3月22日にはアメリカの国家核安全保障局(NNSA)から、米軍機による放射線調査結果が公表されたが、そこには福島第一原発から北西に飯舘村あたりまで高濃度区域が伸びていることが示されていた。原子力安全委員会はその翌朝、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による、シミュレーションを発表、図では汚染はやはり北西方面に伸びていた。

 朝日新聞は3月25日朝刊一面で、「飯舘村では20日に土壌1キログラムあたり16万3000ベクレルのセシウム137が出た」と報じた。村は文科省が土壌調査を行ったことは知っていたが、その結果は村には知らされず、一方的に発表されたものだった。この記事の中で今中は、チェルノブイリなら強制移住になっていた「避難が必要なレベル」とコメントした。

 事故以来、糸長らとともに「飯舘村後方支援チーム」として、情報収集やメディアへの対応にあたっていた私は、すがる思いで今中に電話した。この状況をどう判断したらいいのか、何か対策はないのかと。

 今中は、「この時点でしっかり汚染の状況を把握しておくことが必要だ」と言った。そのために自ら現地に調査に行く予定だという。

 「(週明けの)月曜にから現地に入る。日曜日に東京に行くからミーティングに参加してほしい」

 ようやく東北自動車道が再開したばかり、まだ新幹線は那須塩原までしか動いていなかったため、現地には東京からレンタカーで向かうという。私たちは調査団の受け入れのため、ばたばたと村役場と調整を取った。その時には現地の交通に不案内な今中らに替わって、運転手を買って出ることを決めていた。

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