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国産原発災害ロボ開発 東北大など 高い耐放射線性・機動力

線量計を備えたクインス。複雑な形状の障害物でも乗り越えて進む=千葉県習志野市の千葉工大

 東北大や千葉工大などは、昨年開発した走行ロボット「Quince(クインス)」に放射線の線量計を付けた改良型を完成させた。遠隔操作でがれきを進み、放射線量を測定できる。東京電力福島第1原発事故の放射線量測定に現在使われている米国製ロボットよりがれき上の運動性能に優れ、線量測定の新機器として期待されている。
 クインスは長さ約66センチ、幅約48センチ、高さ約23センチで重さ約26キロ。メーンの走行用ベルトに四つの補助ベルトが付く。電気で動き、人がゆっくり歩く速さで進む。障害物を関知すると、補助ベルトが作動し、がれきなど複雑な形状でも走行できる。
 原発事故発生後、原発作業向けに本体の約1メートルの高さに線量計とカメラを載せた。有線でつないだ1台を中継機として使い、もう1台をカメラの映像を見ながら無線で操作する。2台を連携させて外部から無線の届きにくい原子炉建屋の上層階まで動かす。
 放射線量は積算で2万ミリシーベルトまで安全に使えるという。作業員の被ばく線量の限界は250ミリシーベルトで、人間の80倍の時間の作業が可能になる。
 開発グループの東北大大学院情報科学研究科の田所諭教授は「階段の途中にがれきがあったり、水でぬれたりしても安定走行できる」と話す。田所教授によると、米国製ロボットは戦場で使われた実績があるが、建材が散らばる建屋内を進む運動性に欠けるという。
 ロボット技術の導入に関わる国のプロジェクトチームは東電側に対し、クインスを測定機器の候補に挙げている。チームの東京大大学院工学系研究科の浅間一教授は「原発用ロボットは国内ではメンテナンス専用機しかなく、事故対応はできなかった。クインス導入は最終的に東電の判断によるが、近いうちに導入されると思う」と語っている。(中本亮)


2011年04月28日木曜日


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