東京電力福島第1原発事故で、政府と東電の事故対策統合本部は27日、復旧を妨げていた膨大な汚染水の処理計画をようやく公表した。海外技術で放射性物質を除去し、処理した水は再び炉内に戻す計画で、会見に出席した細野豪志首相補佐官は「おおよそ説明できたと思う」と自信を見せた。しかし高いレベルの放射性廃棄物の処理などの課題は後回しにされ、計画の実現性も未知数だ。
放射性廃棄物の処理方法について、東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「所内でまずは保管するが、その先は未定」と発言。経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官も「高いレベルの廃棄物が出てくるところが難しい問題」と述べた。
出光一哉・九州大教授(原子力工学)は「処理してみないとどの程度の廃棄物が出るのかは分からないが、放射能レベルの高い廃棄物ならば、既存の施設では受け入れが難しい。新たに処分場をつくることになるのではないか」と話す。
一方、この日菅直人首相が漁業団体との面会で原発敷地の地下46メートル地点に大型プールを建設する方向で検討していることを明らかにしたことについて記者団から質問され、細野氏は「(菅首相が)そこまで具体的におっしゃったのに驚いた。総理と直接話をしていないので……」と発言。松本本部長代理も「地下に(タンクを)埋めるのは水処理施設がうまくいかない場合、一時的にためるためだ」と述べ、計画通りに進まない可能性もうかがわせた。【日野行介、関東晋慈、下桐実雅子】
毎日新聞 2011年4月28日 1時03分(最終更新 4月28日 3時07分)