連覇、ライバル対決、そして東日本大震災−。世界中から注目を集める真央が、本番用のリンクで氷の感触を確かめるように跳び、舞った。
「飛行機の時間が長かったので最初は感覚が戻らなかったけど、最後の方は戻ってきた。雰囲気? やっぱり一番大きな大会だな、という感じ」
真央は26日、モスクワ入り後初めて練習にのぞんだ。リンクサイドで順番を待つライバル、金妍児の刺すような視線を感じながら、トリプルアクセルを4回飛んで転倒はなく、鋭い回転は健在。完璧な着氷はなかったが、「最初の滑りにしてはまあまあだったかな」と手応えを得た。
昨年の世界選手権以来実戦のリンクから離れていた金妍児とは、約1年ぶりの直接対決。ライバルの出場が決まった時には「すごく楽しみ」と喜んだ。連覇へ向けて最大のライバルになるが、「去年優勝しているので連覇の期待もあると思う。でも、練習してきたことをやるだけ」と冷静そのものだ。
これまで今大会に集中してきた真央だが、大会後は東日本大震災の復興支援活動を本格化させる予定。来月7日には、愛知県豊橋市で慈善演技会に参加。毎年夏に愛知県内で行われるアイスショー「ザ・アイス」にも出演し、収益の一部を義援金とすることが決まっている。関係者によると、大阪公演も実施が予定されているという。
日本代表ジャージーに喪章と「甦れ日本!!」のシールをつけ今大会に臨む真央は「もし被災地の方が見ていてくれるならうれしい。スポーツ選手として、日本代表として、できることをやりたい」と力を込めた。日本中を元気にする真央スマイルで、世界女王の再戴冠へと突き進む。(伊藤昇)
(紙面から)