天皇皇后両陛下は27日、東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県を訪れ、南三陸町と仙台市の避難所で避難生活を送る人たちを励まされました。
27日午前、自衛隊機で宮城県入りした両陛下は、ヘリコプターに乗り換えて午後1時に津波で壊滅的な被害を受けた南三陸町に到着されました。両陛下は、町の沿岸部が見える高台に立ち、住宅が流され、がれきだらけになっている様子を見ながら、当時の状況について町長から説明を受けられました。そして、被災した現場に向かって静かに頭を下げ、犠牲となった大勢の人たちを悼まれました。続いて両陛下は、近くにある歌津中学校の体育館を訪ねられました。ここでは200人ほどが避難生活を送っていて、天皇陛下は、母親と弟を亡くしたという女性に「残念ですね。さみしくなったでしょうね」と声をかけ慰められていました。さらに、小学校の教師の男性から親を亡くした児童もいると聞かされると「子どもたちはずいぶん大きな痛みを負っているでしょうね」と話されていました。このあと、両陛下は、津波で大きな被害を受け、およそ270人が避難生活を送っている仙台市宮城野区のスポーツ施設にも足を運び1人1人を励まされました。このうち、津波で自宅が流されたという女性は、両陛下の訪問のお礼にと、自宅の庭があった場所に咲いていた水仙の花を、皇后さまに贈りました。皇后さまは、かつて阪神淡路大震災の被災地を見舞った際、お住まいの御所の庭に咲いた水仙の花を崩れ落ちた建物の上に手向けられたことがあり、被災者からの思わぬ贈り物に笑顔を浮かべられていました。また、天皇陛下は、津波で妻を亡くした男性に話しかけ、男性の足もとにあった遺影を手にとって静かに見つめたあと、「津波でお亡くなりになったのですね。大変でしたね。お体を大事にしてください」と声をかけられていました。避難所では、最後に避難生活を送っている人たちが列を作って拍手で両陛下を見送り、両陛下も笑顔で応えられていました。両陛下は、27日夜、東京に戻られることになっています。