福島第1原発事故 最新の内部映像を独自入手 免震重要棟に出入りする作業員らの様子も
福島第1原発の最新の内部映像をFNNが独自に入手した。映像には、緊急時対策本部がある「免震重要棟」に出入りする作業員たちの物々しい様子が映っている。
そして、爆発でむき出しになった鉄骨をさらし、そびえ立つ原子炉建屋は、見上げると、その巨大さと、心もとなさが迫ってくる。
建屋から視線を下ろすと、津波のつめ跡が目に入ってくる。他の被災地と同じく、元の様子を想像することができない。
映像には、これまで見たことがない「生々しい第1原発」が映し出されている。
4月22日、原子力委員会で専門委員を務める青山繁晴氏は、福島第1原発の免震重要棟に足を踏み入れ、内部を撮影した。
福島第1原発に咲く桜。
この映像は4月22日に、原子力委員会で専門委員を務める青山氏が撮影したもの。
青山氏は「これが、福島第1原子力発電所の正門です。みんな、ピリピリと仕事をしているなという印象です」と話した。
まず、青山氏の前に姿を現したのは、放射線を遮断する機能を備えた免震重要棟。
青山氏は「出入管理所で、作業員の方々も、出入りのチェックを厳しく受けています。『係員が開閉します』と。『個人の開閉操作禁止』というふうに...」と話した。
東電職員は「こちらの外側の扉と、内側の扉が同時に開かないように、連携しながら」と説明した。
扉の前に係員が2人張りつき、作業員の出入りを厳しく管理している。
免震重要棟に足を踏み入れた青山氏が見たものは、外したマスクを袋に入れる作業員の姿だった。
作業員たちはここで、放射性物質が付着しているおそれのある手袋などを外す。
さらに、施設内部へと足を踏み入れると、仕事を終えたばかりの作業員と遭遇した。
青山氏を出迎えたのは、福島第1原発・吉田昌郎所長。
そして吉田所長が案内したのは、免震重要棟の2階。
多くの作業員が行き来する廊下の先には、「見えない敵」との戦いの最前線基地である、緊急時対策本部があった。
事故拡大を防ぎ、事態収束に向け、24時間態勢で作業を行っている。
これまで、写真でしか公開されてこなかった対策本部に、初めてカメラが入った。
青山氏が、「いやぁ、思ったより広いですね」と話すと、吉田所長は「広いのは広いんですけどね。一番大変な時は、ここに600人ぐらいですから」と話した。
ホワイトボードには、「頑張れ 福島」の文字があった。
吉田所長は「寝るのも大変な状況ですから。福島第2の方に、寝泊まりする場所を別につくりましたので。夜は、第2の方で寝てもらう形になっている。ここには今、夜、240〜250人が残っています」と話した。
本部の片隅には、防護服を着たまま横になる作業員の姿があった。
青山氏は、「本当、お1人おひとりに、声をかけたいぐらいの感じですけどね」と話した。
過酷な環境での決死の作業を行う作業員たち。
東電職員は「もし、この免震棟がなければ、非常にもっと過酷な状態に陥っていたと思います」と話した。
東京電力は27日、免震重要棟内で事務作業などにあたっていた50代の女性職員が、女性の線量限度の3倍を超える、17.55ミリシーベルトを被ばくしたと発表した。
医師の診察の結果、健康への影響はなかったという。
(04/28 00:39)