東京電力の福島第一原子力発電所の事故で、地震が発生した先月11日、政府に専門的な助言を行う原子力安全委員会は専門の調査委員40人に対し、携帯電話のメールで招集したものの、交通機関が止まっていたことなどからほとんど集まらなかったことが分かりました。
これは、27日に開かれた衆議院の決算行政監視委員会で原子力安全委員会の班目春樹委員長が初めて明らかにしたものです。それによりますと、先月11日の地震と津波によって福島第一原発の1号機と2号機で冷却のための電源がすべて使えなくなったという通報を受けて、原子力安全委員会の緊急事態応急対策調査委員40人に対して、携帯電話のメールで招集したということです。しかし、ほとんどの委員は連絡がつかず、連絡がついた委員も交通機関が止まっていたことから、内閣府にある原子力安全委員会に当日集まることができたのは歩いてきた数人だけだったということです。また、国の防災基本計画では、災害時にはこうした調査委員らを現地に派遣することになっていますが、地震の直後には事務局の職員を1人派遣しただけで、実際に派遣したのは、1か月余りたった今月17日でした。こうした一連の対応について、班目委員長は27日、「派遣が大変遅くなってしまった。失敗だったと思い反省している」と述べ、事故の情報収集や判断の態勢に問題があったことを認めました。地震発生当日に原子力安全委員会の委員が参集したかどうかについて、これまで委員会の事務局は「明らかにすることはできない」と取材に応じていませんでした。