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放射線量、基準値下回っても心配…屋外部活に親の承諾書
専門家「神経質になりすぎ」
福島第一原発事故後、市内10か所の学校や幼稚園などから国の基準以上の放射線量が測定された福島市で、屋外での部活動を認めるべきかどうか各中学校が対応に苦慮している。
保護者から文書で承諾を得た上で、屋外での活動を認める動きも広がり、専門家からは「基準を下回る学校で制限をかけるのは神経質になりすぎ」との声も上がる。
国が今月19日に発表した小中学校の校庭などでの放射線量調査で、同市内の10か所を含む県内13か所が基準値(毎時3・8マイクロ・シーベルト)以上となり、屋外での活動が制限された。
市立岳陽中は基準値を下回ったが、屋外での部活動について全校生徒の保護者の意向を確認する参加承諾書を配布した。屋外活動について、「承諾します」か「承諾できません」を選択する形式で、25日までに176人から回答を回収。17人が承諾できないと回答した。
同中は当面、屋外での部活動を親が承諾した生徒のみで行い、承諾が得られなかった生徒の対応については今後検討する。根本真校長は「屋外活動の同意が得られなければ、試合にも出せない。3年生にとっては最後の年。どうすればいいのか……」と頭を悩ませる。
市立信陵中も基準を下回ったが、屋外で活動する部活に所属する生徒の保護者に今月25日、意思確認の書類を配布。やはり親が承諾した生徒のみで屋外での部活動を認める方針だが、目黒満教頭は「学校側も、校庭での砂ぼこりなどの状況をみて判断する」と話す。
一度は基準値を上回った福島大付属中も26日、全校生徒を対象に保護者の意向を確認する通知を配布した。福島市教委は「学校ごとに事情が違うので、各学校に判断を任せるしかない」との立場だ。
一方、市内の1校が基準値以上となった福島県郡山市では、4月中の屋外での部活動を自粛し、土日などを利用して放射線量が少ない地域で対外試合を行うなどの対応で足並みをそろえる。
こうした対応に、放射線医学総合研究所(千葉市)の明石真言理事は「1時間あたり3・8マイクロ・シーベルトという数値は、科学的には健康に問題がないとされる値。それを下回る地域で、学校生活に制限をかけるのは、少し神経質になりすぎていると感じる」と疑問を呈する。広島大原爆放射線医科学研究所の神谷研二所長は「数字上は安全だとしても、一般には分かりづらい。保護者の多くが不安を感じるのも理解でき、国や自治体は繰り返し説明をすべきだろう」と指摘する。
(2011年4月27日 読売新聞)
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