現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 政治
  4. 国政
  5. 記事

積算放射線量の推定マップ公表へ モニタリング強化

2011年4月22日21時22分

印刷印刷用画面を開く

Check

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

 文部科学省、経済産業省、原子力安全委員会は22日、環境中の放射能汚染のモニタリング(監視)を連携して強化していくと発表した。今月中に大気中の放射線量の分布や積算線量の推定マップを作って公表する。土壌や海洋も観測地点を増やし、今後の避難区域の設定や解除などの判断材料にする。

 3者は福島県や東京電力とも協力して、環境中の放射性物質の分布をはかり、「線量測定マップ」を作る。年間の被曝(ひばく)線量20ミリシーベルトを基準に、事故発生後1年間の積算線量の推定マップも作製。いずれも月内に1回目の公表を行い、月2回更新する。

 土壌も調査地点を増やし、詳しい汚染マップを作る。結果は、農作物の作付けや校庭の利用などの可否を判断する参考データなどに使う。

 海洋については、文科省の観測地点を、原発から沖合60キロ付近までの12地点から南北に2点ずつ増やし、16地点とする。海面と海底から10メートルの海水を採取していたが、中間層の調査も行う。水産庁と連携し、海産物への影響も調べる。

 各都道府県は福島第一原発事故の以前から、大気中の放射線量や放射性物質の降下物、水道水について計測している。ただ、調査地点は1カ所で、文科省への報告も年1回だった。原発事故以降は、調査地点や回数を大幅に増やし、数値の推移を監視している。

 モニタリングのデータは、避難区域や警戒区域の設定などに活用された。科学的根拠に基づいて、よりきめ細かい対策に役立てるためだ。

 実際にモニタリング結果から、浪江町や飯舘村など原発から30キロ以上離れている地域でも、局所的に放射線量や土壌の汚染度、降下物の数値が高いことが確認された。

 計画的避難区域の設定では、放射線量の実測値をもとに、今後1年間の積算線量を試算。それまでは同心円状に20キロ圏内に一律設定していた避難区域を、年間積算量が20ミリシーベルトを超えると推定される地域にまで拡大した。

 九州大学アイソトープ総合センターの百島則幸教授(環境放射能)は「モニタリングの結果は、測り方や場所、天候により数値は異なる。数字に一喜一憂せず、変動幅の推移や傾向を見守ることが大切だ」と話している。

PR情報
検索フォーム

おすすめリンク

「鉄のカーテン」の向こうで原子力発電所が暴発、放射能はカーテンを越えて広まった…事故から25年が経過した今、私たちが学ぶことは。

東日本大震災の災害救援で自衛隊と米軍は「共同作戦」を展開。日米同盟にとって未知の領域で当初、行き違いもあった。

原発危機を招いた原因は、「原子力村」の存在だ。ズバリ言う、「A級戦犯」の正体は……。


    朝日新聞購読のご案内
    新聞購読のご案内 事業・サービス紹介