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総務省がネット上の「流言飛語」への対処を各団体に要請 ネット言論統制か
09年夏の政権交代によって誕生した民主党政権は、記者会見の開放などオープンな方向に向かいつつあった。しかし、昨年6月に発足した菅内閣はどうやら政権交代時の理念は捨て、時代を大きく逆行させているかのように見える。いま大震災のどさくさに紛れて行われていることは、戦時中の言論統制社会への回帰なのではないか。
4月6日、総務省は「東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する電気通信事業者関係団体に対する要請」なる通達を発表した。
これによると、総務省は、社団法人電気通信事業者協会、社団法人テレコムサービス協会、社団法人日本インターネットプロバイダー協会、社団法人日本ケーブルテレビ連盟に対して、東日本大震災に関連するインターネット上の「流言飛語」について、表現の自由に配慮しつつ適切に対応するよう、周知及び必要な措置を講じるよう要請したということだ。
「東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する電気通信事業者関係団体に対する要請」
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_01000023.html
すでに3月中から、今回の大震災に関して報道の裏にある真相を究明するブログ記事削除やアカウントの停止等が行われたとされる報告もあり、法的根拠が示されないままのネット規制強化への懸念の声が利用者から上がり始めていた。
今回の総務省の要請には、各方面からも反論が上がっている。社民党は「今回の総務省の要請は、表現の自由や言論の自由に関する重要な規制であり、国民や各党にも十分な説明もないまま、一片の通達で行うことに疑問を感じる」「『公序良俗』という、いかようにでも解釈可能な大きな網をかけ、さらに被災者の安心という拒みがたい理由付けをしたこの通達は、いくらでも拡大解釈が可能である。特に、原子力発電所や避難区域等で起きていることに関する報道や研究予測、意見表明、発言等に関して、政府や東電の意思や解釈に反するものについて、『流言飛語』として適用されてしまうのではないかという危惧を強く感じる。この要請が実質的な強制を促し、言論封殺につながることを強く懸念する」と談話を発表しているが、全く同意したい。
http://www5.sdp.or.jp/comment/2011/dannwa110407.htm
社民党の談話にもあるように、震災に関しさまざまな情報が流通した最大の原因は、政府・東電が情報を隠蔽したのではないかと多くの国民が考えたことにある。これは何も妄想ではない。例えば、気象庁が行う放射性物質の拡散予測を政府はずっと公開していなかったし(批判を浴びやっと開始)、日本気象学会が会員の研究者らに、大気中に拡散する放射性物質の影響を予測した研究成果の公表を自粛するよう求める通知を出していた。このような真相隠しが行われれば、当然、国民は不安になって情報を求める。また、海外メディアからも日本政府の閉鎖性が強く批判された。「流言飛語」というが、枝野幹事長や原子力保安員、東電、御用学者らの根拠の希薄な「安全です」「大丈夫です」「直ちに影響はない」の言葉に国民の多くが不信感を抱いた。
また、「流言飛語」だと判断する人間はだれなのか。権力サイドにとり都合の悪い隠したい情報はすべてが「流言飛語」と拡大か解釈されかねない危うい通達なのである。
なによりも、この通達は憲法違反である。日本国憲法第二十一条に明確に違反する。
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
http://hourei.hounavi.jp/hourei/S21/S21KE000.php
また、震災のどさくさに紛れて菅内閣は、「コンピュータ監視法案」なる法案を閣議決定してしまっている。自民党時代に廃案となった悪名高き共謀罪の中から組織犯罪処罰法を分離して、それ以外の残りの部分を国会に再上程するということのようだ。事実上、ネット言論弾圧という流れにある。
http://iwakamiyasumi.com/archives/6788#more-6788
私たちは、こうした時代を逆回転して言論統制社会を到来させるようなやり方に抗議の声を上げるべきだし、また、有権者として代表戦で菅氏に投票した地元の民主党議員にもきちんとした説明を求める必要がある。
(磯 尚義)
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最終更新日
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