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ツァイス地方編
第三十三話 乙女心は複雑です
<ツァイスの街 中央工房 設計室>

新型エンジンの設計図が盗まれた事件は、中央工房の人々を震撼させるものだった。
設計図はリベール王国の友好の証としてエンジンと共に帝国と共和国の両方に進呈される事になっていたからだ。

「それで、設計図を最後に見たのはいつなんですか?」
「今朝、あの小火騒ぎが起こる直前には見たんだけど……」
「ええっ、そんなに前の事なの?」

ヨシュアの質問に対する設計士のフーゴの答えを聞いてエステルは驚きの声を上げた。

「設計図の改良は常に行われるから、最新のバージョンは演算導力器の《カぺル》に入れてあるんじゃ」

設計主任のイゴールがさらに説明を付け加えた。

「そして、ある程度まとまった所で設計図をプリントアウトして、古い設計図は機密保持のために裁断して処分するんです」
「なるほど」
「盗まれたのは設計室の片隅に置いてあった古い日付の設計図の方なんです」
「古い設計図には欠点のある危険なものもある、安全面からも回収をお願いしたいんじゃ」

フーゴとイゴールから話を聞き終えたエステル達は、現場の捜査を行う事にした。
現場を調べるのはエステルとヨシュアが担当し、アネラスはジミーを街へ送った後に遊撃士ギルドに戻ってキリカに報告して指示を仰ぐ事にした。

「やっぱり、あの小火騒ぎの時に盗られたのかな?」
「うん、聞き込みをして目撃証言を確かめないと解らないけど、その可能性は高いよ」
「じゃあ、レーヴェさんやアガットさんも怪しい人を見ているかもしれないわね」
「そうだね、限られた時間みたいだ」

そして、設計室の中は散らかってはいるが、荒らされた様子は無かった。
2人は犯人は中央工房の関係者か、事前に詳しい情報を入手して設計図だけを狙ったものだと目星をつけた。
調査結果を報告するためにエステル達が遊撃士協会に戻ると、アネラスやウォン達の姿はなかった。

「アネラスから話は聞いたわ、どうやら大変な事になってしまったみたいね」
「はい」

エステルとヨシュアはキリカに現場を調べた結果を話した。

「なるほど、よくそこまで推理したわね」

2人の推理を聞いたキリカは感心したようにうなずいた。

「でも設計図が政治目的や金銭目的で悪用されるような最悪の事態は避けられそうよ」
「どうしてですか?」

キリカの言葉を聞いたヨシュアが尋ねると、キリカはエステル達にカードを見せた。
それはエステル達にとって見慣れた怪盗紳士のカードだった。

「つい先程、あなた達宛てに届けてくれた旅の人が居たのよ」
「僕達はすっかり怪盗紳士に目を付けられたみたいだね」

ヨシュアは少し疲れた顔でため息をついた。

「怪盗紳士が盗んだのなら、政治的に利用されたり、売り払われる事は無さそうなんだけど……」
「ええ、だから緊急性が低下したこの件はあなたたち2人の担当になったわ、適材適所って言うものね」

エステルのつぶやきにキリカは同意した後、そう付け加えて微笑んだ。

「まったく、あたし達は怪盗紳士の遊び相手じゃないっていうの」

ウンザリとした顔でため息をつきながらも、エステルは怪盗紳士のカードを受け取った。

『第1の鍵は中央工房の頂点に位置する頭脳の中にあり』

怪盗紳士のカードには余計な前書きなどが書かれていたが、それを省略すると書かれていたヒントはそのようなものだった。

「相変わらず難しい謎解きを仕掛けてくるわね」
「どうやら、すんなりとは行かせてもらえないみたいだね」
「あなた達、ここで考えていても仕方が無いでしょう? とりあえず、中央工房に行ってみなさい」

キリカに促されて、エステル達は遊撃士協会を出て行いこうとした。
すると、キリカは思い出したかのようにエステル達を呼び止める。

「そうだ、レーヴェさんとカリンさんは午後の定期便でツァイスを発つそうよ」
「じゃあ、空港に見送りに行かなくちゃ!」
「でも、僕達は仕事があるし……」
「もう、午後の定期便まであまり時間は無いわよ、急ぎなさい」
「ありがとうございます、キリカさん」

ヨシュアとエステルはキリカに頭を下げて遊撃士協会を出て行った。



<ツァイスの街 空港>

エステル達が空港に駆けつけると、すでに定期便が到着し、レーヴェとカリンは飛行船に乗り込んでいた。
事情を話してエステル達はレーヴェとカリンを甲板に呼び出してもらった。
搭乗口を挟んでエステル達とレーヴェ達は向き合って話す。

「兄さん、今日は助けてくれてどうもありがとう。兄さん達が来てくれなかったら、僕達はどうなっていたことか……」
「あたし達、あの魔獣に手も足も出なかったわ」
「そう恥じる事は無い、あの魔獣は俺達4人で追い払うのがやっとだったからな」
「倒せなかったの?」
「ああ、湖の中へと逃げ込んでしまったからな」

エステルの質問にレーヴェは少し悔しそうにうなずいた。

「じゃあ2人とも、遊撃士のお仕事を頑張ってね」
「うん」

カリンに言われて、エステルとヨシュアはうなずいた。

「……ヨシュア、私達の事は良いから、あなたが決して後で後悔する事の無い道を選びなさい。きっともうじき決断しなければいけない時が来るわ。そろそろ、限界だと思うもの」
「そうかな?」
「あんまり待たせちゃいけないわよ」
「そうだね」
「ねえ、一体何の話をしているの?」

突然真剣な顔で見つめ合って話すカリンとヨシュアを見て、エステルが尋ねるとヨシュアは慌てて首を横に振る。

「別に大した話じゃないよ」
「本当? あたし達の間に隠し事なんてあっちゃいけないんだからね」
「エステルの助けが必要な時は相談するから」
「そっか、分かった」
「ふふ、2人は心の底から信頼し合っているのね」

ヨシュアとエステルのやり取りを見ていたカリンは嬉しそうに穏やかに微笑んだ。
飛行船の発車を知らせる汽笛が鳴った。
どうやら別れの時が来たようだ。
レーヴェとカリンは手を振るエステルとヨシュアに見送られて甲板から客室の中へと姿を消した。
定期船が飛び立った後も、エステル達はしばらく空を見つめていた。

「あれ、あの飛行船は?」

定期船が飛び立って空っぽになった滑走路の向こうに、別の飛行船が泊まっているのにエステルは気が付いてヨシュアに尋ねた。

「多分、王女親衛隊の飛行船アルセイユだよ」
「綺麗なデザインの船ね」
「リノンさんの雑貨屋にも模型があったじゃないか」
「そういえば、あたしには触らせてもらえなかったわね」
「エステルは壊し屋で有名だったからだよ」

ヨシュアはそう言ってため息をついた。
エステル達はしばらく作業員が詰めかけているアルセイユを眺めた後、遊撃士の仕事を再開するために中央工房に向かう事にした。



<ツァイスの街 商店街>

空港を出て中央工房に向かうエステル達の目の前に、とんでもないものが飛び込んで来た。
巨大な猫が人間のように二足歩行している!?
その姿は街の人々の注目を集めていた。
もちろん、エステル達もその猫が本物ではなく人工の大きな着ぐるみのようなものだとすぐに分かった。
しかし、猫の着ぐるみが歩いている事も驚くべきことである。
エステル達は着ぐるみの隣で恥ずかしそうに歩いてるウォンの姿に気がついてその着ぐるみの主が分かった。

「あのー、アネラスさん?」
「あっ、エステルちゃん」

エステルに呼ばれた猫の着ぐるみを背負ったアネラスが振り返った。

「何か、凄い物を持っているわね」

エステルに尋ねられたアネラスは嬉しそうに体を回して背負っている大きな着ぐるみを見せる。

「じゃーん、”ねこスーツ”だよ! そこの雑貨屋さんの新商品なんだって」
「アネラスさん、買い物は仕事中にしない方がいいですよ」
「違うよヨシュア君、これは依頼で買ったんだよ」

アネラスはツァイス支部の先輩遊撃士であるウォンが困っていたので相談に乗ってあげたのだと説明した。
ウォンはヴォルフ砦の兵士ブラムから中央工房に勤めている恋人のフェイに仲直りするための手紙を渡し、できればプレゼントを買って渡して欲しいと頼まれた。
しかし、ウォンは女性へのプレゼントを選ぶのに困っていた。
そこでアネラスに相談を持ちかけたのだった。

「この”ねこスーツ”なら、きっとフェイさんも喜んでくれますよ! こ~んなに可愛いんだから」
「着ぐるみはやりすぎじゃないかな」
「女の子の気持ちが解っていないな、ヨシュア君は。可愛いは正義だよ!」

アネラス達はこれから中央工房の地下倉庫に居るフェイに手紙とプレゼントを渡しに行くのだと言う。
結果が気になるエステル達もついて行って見届ける事にした。

「うわぁ、可愛い着ぐるみじゃないか!」
「気に入ってもらえてよかったです」

喜んでねこスーツを受け取るフェイの姿に、エステルとヨシュアは開いた口が塞がらなかった。

「……ヨシュア、あたしも可愛い小物を集めた方が女の子っぽく見てもらえるのかな?」
「そんな事無いよ、エステルは今のままで……」
「変な事聞いちゃって、ゴメン」

エステルはそう言ってごまかすように笑った。
依頼を大成功させて大喜びのアネラス達と別れ、エステル達は怪盗紳士の挑戦状の謎解きの仕事に戻った。

「中央工房で1番頭が良い人と言えばラッセル博士かな?」
「レーヴェ兄さんやアガットさんにも小火騒ぎの時、怪しい人影を見なかったか話を聞く必要があるし、行ってみよう」

エステル達は同じ中央工房の地下にあるラッセル博士の実験場へ向かう事にした。



<ツァイスの街 中央工房 地下実験場>

エステル達が実験場に足を踏み入れた時、アガットが滝のような汗を流しながら戦闘用ロボットと戦っていた。

「でえええい!」

アガットが重い剣の一撃を加えると、ダメージを受けた戦闘用ロボットは動かなくなった。

「どうだ!」
「きーっ、悔しい! 次はこいつで勝負よ!」

アガットが勝利宣言をすると、エリカ博士は次の戦闘用ロボットをすかさず繰り出した。

「おいおい、勘弁してくれよ」
「何連戦でも構わないと大見得を切ったのは誰かしら?」
「ちっ」

アガットは舌打ちをして戦いを再開した。

「相変わらずアガットには厳しいわね」

エステルは苦笑しながらそうつぶやくと、ティータがエステル達に気が付く。

「あっ、エステルお姉ちゃん。私も何でおかーさんがアガットさんだけにあんなに厳しいか分からないんだ」
「エリカ博士がアガットを目の敵にするのはティータのせいじゃない」
「え、どうしてなの、レンちゃん?」
「あはは……」

レンとティータのやり取りにエステルは苦笑した。

「ジンさん達はどうしたの、一緒に鍾乳洞から戻って来たと思うけど」
「広い所で手合わせをしたいって言って、トラット平原に行っちゃったみたいよ」
「アガットさんだけがおかーさんに捕まっちゃったみたいです」
「そういえば、ラッセル博士も居ないね」
「おじいちゃんなら、空港でレンちゃんのおじいちゃんと《アルセイユ》に新型エンジンを取り付ける作業をしています」
「ラッセル博士に何の用なの?」
「あたし達、中央工房で1番の頭脳の持ち主のラッセル博士に聞きたい事があって来たんだけど……」
「何ですって!?」

エステルの言葉を聞いたエリカ博士が目をむいてエステルに食ってかかった。

「あのじいさんが1番の頭脳ってどういう事よ! 私の方が計算式を解くスピードは速いんだからね」
「あら、計算式を解くスピードが速いかどうかなんて、頭の良さを示す一部分にすぎないんじゃないかしら? 計算するならコンピュータの方が速いじゃない」
「きーっ、生意気言って!」
「はわわ、おかーさん、落ち着いて」

ついにエリカ博士とレンを中心とした言い争いが始まり、ティータがなだめていた。

「もしかして頂点に位置する頭脳って、演算導力器の《カぺル》の事じゃないかな?」

そんな言い争いをしりめに考えていたヨシュアがエステルにそう話しかけた。

「何で?」
「ほら、この中央工房の最上階にあるじゃないか」
「なるほど、そう言われてみればそうよね」

騒がしくなった実験室の事を気にせず、アガットはエリカ博士の戦闘用ロボットと戦い続けていた。
怪盗紳士の目撃情報を聞くのは難しいと考えたエステル達はカぺルのある演算室に行く事にした。
エステル達が演算室に向かう事にした事を話すと、ティータとレンがついて来てくれる事になった。
カぺルの操作方法に詳しくないエステル達にとっては心強い味方だった。
演算室に着いたエステル達はトランス主任の許可を得てカぺルを操作した。

「さて、怪盗紳士に関する情報を探さないとね」
「片っ端からファイルを開いて行こうか」
「バカね、検索も知らないの?」

レンはエステル達を小馬鹿にしたように笑うと、カぺルを操作し始めた。
ファイル検索を実行すると、一瞬で怪盗紳士の残したファイルが見つかった。
エステル達だけだったらかなりの時間が掛かっただろう。

「どうやら、ハッキングをしてカぺルの中にファイルを置いて行ったようね」
「ハッキングだと!?」

レンの言葉を聞いて、トランス主任が驚きの声を上げた。

「でも、カぺルのセキュリティはおじいちゃん達が完璧にしていたはずです」

信じられないといった表情でティータが反論した。

「ネットワークで繋がっているのだから、IDとパスワードを入手すれば外部からアクセスできるわよ」
「よし、アクセスログの解析をしてみよう」

レンの言葉を聞いたトランス主任はうなずいて部屋にある別のコンピュータの操作を始めた。

「えっと、あたし達には何の事やら解らないんだけど」
「怪盗紳士は遠く離れた場所からファイルを送信できたって事なんです」
「なるほど、じゃあこの部屋での目撃証言は無いって事だね」

エステルの質問に対するティータの答えを聞いて、ヨシュアはそう結論を出した。

「怪盗紳士の足取りはトランスさん達に任せて、僕達は怪盗紳士の残した暗号を解こうよ」
「そうね」

ヨシュアの提案にエステルはうなずきファイルを調べると、そこにはエステル達を挑発する様な文章と、次の鍵となる謎掛けが書かれていた。

『第2の鍵は中央工房の地下に。女神の前で唱えるが良い、D-45A-Cと!』

「中央工房の地下と言えば、実験室よね?」
「そこに居る女神って……」
「もしかして、おかーさん?」

エステル達はまたエリカ博士に話を聞かなければいけないのかと、ため息をついた。
何となくエリカ博士は苦手だったのだ。

「ごめんなさい、エステルお姉ちゃん、ヨシュアお兄ちゃん」
「ううん、ティータが悪いわけじゃないのよ」

謝るティータを見ながら、エステル達はティータの性格が父親似で良かったなどと思うのだった。

「何よ、D-45A-Cって?」
「心当たりありませんか?」
「私が聞きたいぐらいよ」
「そんな、ここで手掛かりが途切れちゃうなんて……」

エリカ博士が怪盗紳士の残した暗号について何も知らない事を話すと、エステルはガッカリした様子でため息をついた。

「お姉ちゃん達、気を落とさないで」
「うん……」

ティータに見送られてエステル達が実験室を出ると、地下倉庫で働く女性作業員、フェイの姿を見かけた。

「ヨシュア、もしかして……」
「うん、僕達は女神を人違いしていたのかもしれない」

エステルとヨシュアは顔を見合わせてうなずいた。
中央工房の地下にはラッセル博士の実験室がある印象が強かったが、地味ながら製品倉庫も存在していた。

「やだなあ、私が女神だなんて、照れちゃうな」

エステル達から話を聞いたフェイは目を輝かせてほおに両手を当てた。
ヨシュアはツッコミを入れずスルーする事に決めてフェイに質問する。

「それで、D-45A-Cって言葉に心当たりはありませんか?」
「これが解らないとフェイさんは女神じゃないって事になるのよ」
「多分、製品番号の事じゃないかな?」

フェイは連絡をして、その番号に該当する製品を呼び出した。
ベルトコンベアで運ばれてきたのは段ボールの箱だった。
ラベルの差出人の欄には王都グランセルの名前が書かれていた。

「怪盗紳士ってグランセルに居るの?」
「差出人不明の怪しい荷物は中央工房に届けられない事もあるからねえ」

エステルの疑問にフェイはそう答えた。

「すると、怪盗紳士の偽装かもしれませんね」

ヨシュアは考え込む表情でそうつぶやいた。
エステル達が慎重に箱を開けると、底にカードが入っている以外は空だった。
そしてカードには以下の謎解き文が書かれている。

『第3の鍵は古代より王国を見守る4本の柱の内、紅きものの頂きにあり』

「これは多分、ツァイス地方にある紅蓮の塔の事だと思うよ」
「頂きって事は屋上まで行かされるの?」

謎解きは簡単だったが、遠くまで行かなくてはならない事にウンザリするエステル達だった。



<ツァイス地方 紅蓮の塔>

遊撃士協会のキリカに怪盗紳士がハッキングをした事やグランセルから荷物を送りつけた事を報告した。
そして日が沈まないうちに調べてしまおうと、急いで紅蓮の塔へと向かった。
夕日に照らされた紅蓮の塔は、幻想的な赤い色を見せていた。
しかしエステル達にはその光景を味わう時間は無かった。

「日が沈んだら屋上での捜索は難しくなる」
「ええ、あまり時間は残されていないわね」

ヨシュアとエステルは顔を見合わせてうなずくと、紅蓮の塔の中へと駆け込んで行った。
塔の中でも2人は屋上を目指して猛突進して行く。
屋上についたヨシュアは、怪しい気配を感じて立ち止った。

「どうしたの、ヨシュア?」
「あの柱の陰に誰かが隠れている」

エステルとヨシュアは、武器を持って慎重に柱へと近づいて行った。
すると、柱の陰から両手を挙げながら人影が姿を現す。

「私ですよ、エステル君、ヨシュア君!」
「アルバ教授じゃない、驚かさないでよ」
「怖かったのはこちらですよ、逆光で2人の顔が近くに来るまで良く見えなかったんですから」
「ごめんなさい」

たっぷりと冷汗をかいたアルバ教授にエステルは謝った。

「で、アルバ教授はまた1人で行動しているんですね」
「そういえば、これで3回目になるわね」
「まったく反省の色が見られないようですが」

ジト目のヨシュアとエステルににらまれたアルバ教授は言い訳を始める。

「こ、今回は違うんですよ!」
「どこがどう違うんですか」
「そ、それは……言えません」

エステル達とアルバ教授が紅蓮の塔の屋上で話していると、北の空から小さい飛行艇のようなものが、南の方角に向かって飛び去って行くのが見えた。
そして、その飛行艇を追いかけるように別の小型飛行艇、さらに続いて高速飛行船が続いて飛んで行った。

「何か、いろんなものが空を飛んで行ったように見えたけど……」
「最後に飛んで行った飛行船は確かアルセイユだったと思うよ」
「そう言えば少し前にツァイスの空港で見かけたわよね、何を追いかけていたのかな?」
「さあ、分からないよ」

あっけにとられたエステル達はぼう然とアルセイユ達が飛び去って行った南の夕焼け空を見つめていた。
その後、エステル達はアルバ教授の協力も得てトラット平原にあるストーンサークルで怪盗紳士の盗んだ新型エンジンの設計図を取り戻した。
一件落着と安心して街へと戻るエステル達。
しかし、ツァイス地方の上空では大事件が起こっていたのだった。
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