NHK連続テレビ小説「凛凛と」に主演し、2時間ドラマなどで活躍した俳優の田中実さんが25日、東京・大田区の自宅で首をつり死亡していたことが26日、分かった。44歳だった。遺書などは見つかっていないが、警視庁池上署は自殺の可能性が高いとみている。この日の夜、所属事務所のオスカープロモーションが会見。「家庭環境や金銭などにトラブルはなかった」と不可解な死に驚きを隠せない様子だった。
さわやかで誠実なキャラクターで、2時間ドラマや昼ドラマの常連だった田中さんが突然、命を絶った。
東京・表参道のオスカー本社で行われた会見には鈴木誠司氏、岩澤和俊氏の両専務取締役が出席。25日午前11時30分ごろ、仕事現場に現れないことを不審に思ったマネジャーが田中さんの家族に連絡をとり、母親と午後1時過ぎに2人で室内に入ったところ、田中さんの部屋の窓際の鉄格子にマフラーを巻き付け、首をつっているのを発見した。すでに心肺停止状態で、マネジャーが人工呼吸をほどこし救急車を呼んだが、午後4時20分、死亡が確認された。
仲代達矢(78)率いる無名塾の出身。23歳のとき、NHK朝ドラ「凛凛と」の主演に抜てき。男性が主役を務める異例の作品で、一躍お茶の間の人気者になった。栄養ドリンクのCMの「頑張って 頑張って 仕事」も流行。その後は、TBS系昼ドラ「温泉へ行こう」シリーズや2時間ドラマなどで活躍。06年に放送された「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」ではサコミズ・シンゴ隊長役を熱演し、幅広い世代に人気だった。
優しくきまじめな人柄。岩の多い場所で行われたドラマのロケ取材では、集まった記者に「足元危ないですから気をつけてくださいね」と気遣った。また、小柄な女性記者には、184センチと長身の田中さんは、記者を見下ろす姿勢にならないように膝を曲げ体をかがめて応対するなど繊細な心配りを忘れない人でもあった。
最後に放送された仕事は、18日のTBS系2時間ドラマ「湯けむりバスツアー 桜庭さやかの事件簿3」(主演・萬田久子)。その後も2、3本の出演作が放送を控えていた。半年先まで仕事が決まっており、きわめて仕事は順調だった。通夜、告別式は家族だけの密葬形式で執り行う予定という。
◆テレ朝ドラマは代役で撮影続行 〇…田中さんは、死の直前までドラマの収録を行っていた。テレビ朝日系の2時間ドラマ「法医学教室の事件ファイル」(主演・名取裕子、放送日時未定)の撮影がスタートしたばかり。田中さんの出番は未収録のシーンが多かったため、同作は撮影を続行。代役を立てて予定通り放送する予定だという。
◆田中 実(たなか・みのる)1966年10月27日、東京都生まれ。高校卒業後、仲代達矢が主宰する劇団「無名塾」に入所。90年のNHK連続テレビ小説「凛凛と」に主演し、注目を集めた。その後はドラマ、映画でバイプレーヤーとして活躍。TBS系の昼ドラマ「温泉へ行こう」が人気となり、99年から05年まで全5シリーズ制作された。93年に一般人女性と結婚し、1男1女をもうけた。
[2011/4/27-06:05 スポーツ報知]