東北地方太平洋沖地震 ・福島第1原発、避難区域10キロに拡大 放射線量8倍(以下、福島原発関連)
2011年3月12日 Posted by choayo3月 12
日本経済新聞
福島第1原発、避難区域10キロに拡大 放射線量8倍
経済産業省の原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は12日午前6時10分に会見し、5時44分に福島第一原発周辺住民の避難指示の区域を、これまでの半径3キロメートル圏内から同10キロメートルに拡大したと発表した。原子力建屋の中でなんらかの機器が破損し、放射能が外部に漏れている可能性があるためとしている。
原子力施設の正門付近で観測したところ、通常は1時間あたり0.07マイクロ(マイクロは100万分の1)シーベルトの放射能レベルが、8倍の0.59マイクロシーベルトになっているという。また、中央制御室の付近でも放射線量が通常の1000倍に上がっているという。
また、格納容器の「弁」をあけて通常の倍以上に高まっている圧力を下げる作業にまだ時間がかかること、電源回復のための作業に時間がかかることなどを含め、避難する対象の範囲を広げた。
07:47 日本経済新聞
首相、福島第1原発など視察へ 現地近くに到着
菅直人首相は12日朝、東日本大震災の被害状況を把握するため、ヘリコプターで官邸を出発し、緊急炉心冷却装置に異常が生じた東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)近くのヘリポートに到着した。同原発関係者から説明を受け、津波の被害が大きい福島、宮城両県の海岸部も上空から視察する。
これに先立ち首相は官邸で記者団に対し、原発視察について「現地で責任者と話をし、状況を把握したい」と述べた。
政府は平野達男内閣府副大臣を団長とする調査団を岩手県に派遣。官邸に閣僚を集め、午前8時半から緊急災害対策本部と原子力災害対策本部の会合を開催。広範囲に及んだとみられる被害の全容把握と被災者の救援に全力を挙げるとともに、各地で寸断された交通機関、ライフラインの復旧も急ぐ。
現地で救援活動に当たっている陸海空自衛隊の災害派遣部隊、警察広域緊急援助隊などに加え、物資の提供、輸送を中心に在日米軍の協力に向け調整を加速する。
インフラ復旧と被災者の生活再建のため、予備費の支出、補正予算編成による財政支援策の検討にも着手。被災状況を踏まえ、4月の統一地方選を延期するかどうかの判断も詰める。
07:55 日本経済新聞
東電、電気使用抑制を要請 300万キロワット供給不足も
東京電力は12日朝、同日の電力需給の予測を発表した。同社の供給区域について、想定需要は電力利用が多い午後6時から午後7時まで3800万キロワット。それに対し、供給力は3500万キロワットで、300万キロワット不足する恐れがある。供給力を上回る需要を想定することは過去の災害でも例がないもようで、極めて異例。
東電は他電力からの受電などで供給力を確保しようとしているが、原子力発電所の相次ぐ停止などで供給力不足に陥ることは必至。約700の大口顧客に電気使用の抑制を要請しているが、一段の電力使用の抑制策が必要になっている。
08:11 日本経済新聞
福島第2原発の4基、蒸気放出へ
原子力安全・保安院は、東京電力が福島第2原発の4基の原子炉すべてで蒸気を外部に放出する準備に入ったと発表した。
13:28 日本経済新聞
福島原発、放射性物質の放出開始 燃料棒の一部露出
東京電力は12日、東日本巨大地震の発生に伴い、福島第1原子力発電所の第1号機で格納容器内が破損するのを防ぐため、放射性物質を含む水蒸気を外部放出する作業を始めたと発表した。外部放出は初めてで、水蒸気には微量の放射性物質が含まれている。水蒸気の圧力抑制機能が失われた福島第2原発でも放出する計画。格納容器の破損を防ぎ、放射性物質の大量漏洩という最悪のシナリオを回避する。
東電は同日午前9時から放出作業を開始した。原発は燃料棒が入っている炉心の外側に圧力容器があり、その外側を格納容器が覆っている。第1原発1号機では、圧力容器内の水蒸気が格納容器内に漏れたとみられる。
水蒸気放出は放射性物質を閉じ込める格納容器が壊れるのを防ぐため。同容器が壊れると放射性物質が拡散し大事故に発展するので、健康に影響がない範囲で水蒸気を小出しにして破損を防ぐ。
水蒸気は大量の水の中を通し、排気筒から屋外に出す。水に通す過程で大半の放射性物質は溶け、100分の1に減る。排気筒は高さ120メートルで、風が海に向かって吹いている時に放出して住民への影響を最小化する。
海江田万里経済産業相は第1原発の1号機と2号機について水蒸気の外部放出を東電に指示した。第2原発でも1、2、4号機で格納容器内の水蒸気による圧力調整機能が失われたことが確認された。東電は第2原発でも水蒸気を外部に出すことを念頭に作業中だ。
一方、経済産業省の原子力安全・保安院は12日午前、第1原発1号機の圧力容器内の水位が低下し、燃料棒が80~90センチ露出していると発表した。水位低下の理由は不明。
政府は12日朝、第2原発の半径3キロメートル圏内の住民に避難、同10キロメートル圏内の住民に屋内待機するよう指示を出した。対象は計約3万2000人。また同日、放射線医学総合研究所の医師や看護師で構成する緊急被曝(ひばく)医療支援チームも派遣した。万一、事故が発生した場合は福島県立医大病院(福島市)や福島労災病院(福島県いわき市)で患者の受け入れ体制を整備しているという。
15:00 日本経済新聞
原子力安全・保安院、自衛隊に給水支援要請 福島原発
経済産業省の原子力安全・保安院は12日午後、福島第一原子力発電所1号機の炉心を冷やす冷却水が不足してきたため、自衛隊に協力を要請したことを明らかにした。炉心が高温のままだと燃料棒の損傷が続く恐れがあるためだ。自衛隊が近郊の水源地から水を集め、給水車で運ぶ。
現在は消火用の配管を炉心を冷やす配管と接続し、炉心の温度を下げるために使っている。保安院によるとこれまでに合計で2万1千リットルを投入したという。
14:18 日本経済新聞
福島第一原発1号機、炉心溶融の可能性 保安院発表 周辺地域からセシウム検出
経済産業省の原子力安全・保安院は12日午後2時、東京電力の福島第一原発1号機で「炉心溶融が進んでいる可能性がある」と発表した。発電所周辺地域から、燃料の核分裂に伴うセシウムが検出されたという。
水位が下がり、燃料棒が露出していたとの報告もあった。燃料自体の熱が上がり、包んでいる金属が溶けるとセシウムなどの検出につながる可能性がある。
15:30 日本経済新聞
福島第1原発「炉心溶融が進んでいる可能性」 保安院
経済産業省の原子力安全・保安院は12日午後2時、東京電力の福島第一原発1号機で原子炉の心臓部が損なわれる「炉心溶融が進んでいる可能性がある」と発表した。発電所の周辺地域から、燃料の核分裂に伴うセシウムやヨウ素が検出されたという。燃料が溶けて漏れ出たと考えられる。炉心溶融が事実だとすれば、最悪の原子力事故が起きたことになる。炉心溶融の現象が日本で確認されたのは初めて。
保安院は同日午後3時半、圧力が高まって爆発による放射性物質の大量放出を防ぐため、格納容器内の減圧作業を実施した。圧力が「午後2時を境に急激に下がりはじめた」(保安院)という。
周辺地域から検出された種類は、いずれも本来は金属容器で封じ込めている物質。炉心溶融で大量に放射性物質が出れば、被曝(ひばく)の被害が広がる恐れもある。
保安院は今回の炉心溶融について「放射性物質の広がりを計算した結果、現時点では半径10キロを対象とする住民避難の範囲を変更する必要はないだろう」と話している。
震災にあった1号機は、核燃料棒を冷やしていた水位が下がり、露出していたとの報告もあった。
燃料を包む金属容器は高温に耐えるとされる。溶けたとなれば、燃料周辺が相当の高温にさらされたとみられる。金属容器ばかりか原発の圧力容器や格納容器を溶かせば、放射性物質が外に漏れ出す。
原発の運転中は、炉心で核燃料が核分裂を起こしている。発熱反応が連鎖し、冷却水を蒸気に変えてタービンを回し、発電している。
冷却水があるうちは熱が一定に保たれるが、本来の水位が下がると燃料が生む熱の行き場が無くなる。最悪の事態では、原子炉の心臓部である炉心溶融が起きる。
この事態を受け、保安院は自衛隊に給水支援を要請した。大量の水を使って熱を冷ますためだ。
過去の大きな原子力災害も、炉心溶融が原因のものがあった。1979年には、米ペンシルベニア州のスリーマイルアイランド原発にトラブルが発生。緊急炉心冷却装置が働かず、高温になった燃料が炉心を溶かす大事故につながった。
15:45 日本経済新聞
福島第1原発 格納容器の蒸気放出、減圧を確認
経済産業省の原子力安全・保安院は12日午後3時半、東京電力の福島第1原発1号機で圧力が高まっていた格納容器内の減圧作業を実施した。圧力が「2時を境に急激に下がりはじめた」(保安院)という。格納容器の爆発による放射性物質の大量放出を防ぐため、水蒸気を逃がす2つの弁を開けて減圧した。
圧力は755キロパスカルから555キロパスカルに下がった。まだ正常値よりも高いが、作業の効果がみられた減圧降下が見られたという。弁を開けた時に出た水蒸気に含まれる、放射性物質による環境影響は微小とみられる。
16:59 日本経済新聞
福島第1原発1号機で爆発 東電、詳細確認急ぐ
東京電力福島事務所によると、12日午後3時半ごろ、福島第1原子力発電所の第1号機周辺で「ドーン」という音がしたという。10分後、白い煙を確認した。作業員2、3人が近くにいる可能性がある。同事務所は詳細の確認を急いでいる。
17:17 日本経済新聞
福島第1原発1号機で爆発、4人けが 東電発表
東京電力は12日午後、15時36分ごろに福島第1原発の1号機付近で直下型の大きな揺れが発生し、その直後どーんと爆発音がして白煙が発生と発表した。作業員4人が負傷し、病院に搬送されたという。爆音や白煙の原因、被害の程度はわかっていない。
17:25 日本経済新聞
12日夜、計画停電の可能性低く 東電「供給問題なし」
東京電力は12日、「午後6時から7時にかけて電力需要のピークを迎えるが、想定需要に対し、供給力が上回るように調整を続けており、停電などの措置は現在のところ回避できそうだ」(広報部)とした。
13日については、現在のところ輪番停電などの可能性は低いとしている。
18:04 日本経済新聞
福島第1原発1号機で爆発音 天井が崩落
東京電力福島事務所によると、12日午後3時半ごろ、福島第1原子力発電所1号機周辺でドーンという「爆発音」がしたという。10分後、白い煙を確認した。作業員2、3人が近くにいる可能性がある。同事務所は詳細の確認を急いでいる。福島県によると同機の天井など建屋が崩落した。午後4時すぎ、敷地内の放射線量が上がっているという。東電によると、同社社員2人と協力会社社員2人の計4人がけがを負った。
東京電力は12日午後、福島第1原子力発電所1号機の原子炉内の水位低下が進んでいると発表した。午前9時に燃料の上部50センチメートルが露出していたのが、10時30分には90センチメートル、午後1時には1.5メートルに拡大。午後3時28分には1.7メートルになった。燃料の長さは4メートルで全体のほぼ半分が露出したことになる。
露出が進めば燃料の温度の上昇が進んで、最悪の場合、原子炉の崩壊につながる可能性もある。
東電では引き続き、原子炉内への水の注入を続けているものの、現在の消防車を使った水の注入では水位の低下を防ぐのは難しいと判断。現在、海水の原子炉内への注入を含めた検討をしている。原子炉内に海水を入れると、発電所の復旧が困難になる可能性もある。
東電によると、現地の情報が錯綜しており、現在の状況を確認するのも困難な状況。福島第1原子力発電所内には午前11時の時点で750人の作業員がいる。
19:09 日本経済新聞
福島原発の避難指示 第1は20キロ圏に拡大
福島県によると、首相官邸からの指示で、福島第1原発の避難対象地域を、これまでの半径10キロ圏内から同20キロ圏内に拡大した。
19:42 日本経済新聞
福島第1原発、避難対象20キロ圏に 第2は10キロ
福島県は12日、首相官邸からの指示で、福島第1原発、第2原発ともに避難対象地域を半径20キロ圏内とした発表を訂正した。第1原発が同20キロ、第2原発が同10キロ圏内のままとした。
19:53 日本経済新聞
福島第1原発1号機で爆発、天井崩落 炉心溶融か 日本の原発史上、最悪の事故
12日午後3時半ごろ、東日本巨大地震で被災した福島第1原子力発電所1号機周辺から爆発音が聞こえ、10分後に白い煙を東京電力が確認した。同社の社員2人と協力会社の作業員2人がケガをし、病院に搬送された。福島県に入った情報では原子炉がある建屋などの天井が崩落した。福島県は12日午後6時25分、首相官邸からの指示で福島第1の避難指示を半径10キロから20キロ圏内に拡大した。ほぼ半世紀になる日本の原発史上で、最悪の原子力事故になった。
経済産業省の原子力安全・保安院は午後2時、「原子炉の心臓部が損なわれる炉心溶融が進んでいる可能性がある」と発表。燃料の核分裂に伴うセシウムやヨウ素が原発周辺から検出されたとしていた。
福島県に入った情報によると、午後4時すぎ、敷地内の放射線量が1時間に1015マイクロシーベルトを示した。一般人が年間に受ける放射線量の限度(1000マイクロシーベルト)に相当する値まで上がっている。
原発は万一の事故に備え、「5重の壁」と呼ばれる構造で放射性物質を閉じ込める。今回の爆発では一番外側にあたる原子炉建屋が壊れたことが映像で確認された。内側の防壁の状況は分かっていない。
建屋崩壊時は原子炉格納容器の圧力が高まっており、壊れる可能性があったため内部の空気を出す作業を進めていた。爆発が起きた原因は調査中だが、原子炉格納容器の圧力が何らかの理由で高まり過ぎて爆発したとすれば、最悪の場合は内部の防壁も壊れ、放射性物質が外に出た可能性がある。
東電によると、現地の情報が錯綜(さくそう)しており、被害状況などを確認するのが困難な状況が続いている。福島第1原発の敷地内には同日午前11時の時点で750人の作業員がいるという。
1号機は東日本巨大地震の発生で自動停止はしたものの、緊急炉心冷却装置(ECCS)を動かすことができなくなり、炉を十分に冷やせなくなっていた。
東電は12日午後、原子炉内の水位低下が進んでいると発表した。午前9時に燃料の上部50センチメートルが露出していたのが、10時30分には90センチメートル、午後1時には1.5メートルに拡大。午後3時半ごろに1.7メートルになった。燃料の長さは4メートルで全体のほぼ半分が露出したことになる。
21:20 日本経済新聞
海水注入で原子炉冷却開始 東電「放射線量は低下」 福島第1原発で爆発事故
東日本巨大地震を受け、東京電力の小森明生常務は12日記者会見し、爆発事故のあった福島第1原子力発電所1号機について「本日午後8時20分から原子炉に海水を注入して冷やす作業を始めた」ことを明らかにした。炉心の冷却に海水を入れると金属製の原子炉がさびやすくなり、炉内に不純物が混入する可能性もあるため、今後使用できなくなる可能性がある。
また、第1原発1号機の敷地で午後6時58分に測定した放射線量が1時間当たり70.5マイクロシーベルトを示したことを明らかにした。1015マイクロシーベルトを観測したのは15時29分で、爆発前だったとしている。
20:56 日本経済新聞
福島第1原発襲った津波「10メートル超か」 東電 東日本巨大地震
東京電力の小森明生常務は12日の記者会見で、福島第1原子力発電所で11日の地震発生後に、「10メートルを超える津波に襲われた可能性がある」と述べた。建屋は水面から10メートルの場所にあるものの、それを上回って建屋内にも海水が入ってきたという。波高計も設置していたが、計測できる高さを上回っていた。
20:56 日本経済新聞
建屋損壊、「格納容器は破損せず」官房長官 福島第1原発の爆発
枝野幸男官房長官は12日夜の記者会見で、東京電力の福島第1原子力発電所の爆発について「炉心の水が少なくなって発生した水蒸気が(炉心のある)格納容器と建屋との間の空間で水素になり、酸素と合わさって爆発した」と説明した。そのうえで「格納容器が爆発したわけではない。格納容器は破損していないと報告を受けている」と強調。「放射性物質が大量に漏れ出すものではなく、爆発の前後でむしろ少なくなっている」と冷静な対応を呼びかけた。
21:31 日本経済新聞
「原発立国」に暗雲 原発事故で電力供給不安が長期化
東京電力の福島第1原子力発電所の被災により、家庭や企業などへの電力供給が不安定になることは確実だ。他の電力会社からの電力供給量も限られ、生活に欠かせない電力不足は長引く見通し。原発の新規建設への警戒心が強まることも避けられず、官民そろって目指してきた「原発立国」に暗雲が垂れこめている。
「通常は余裕を持っているが、今回はマイナス。不足分は顧客への電力供給を絞らざるを得ない」。東電の藤本孝副社長ら…
21:53 日本経済新聞
海水注入で炉心冷却開始 東電、1号機廃炉も視野 福島第1原発、史上最悪の事故に
東日本巨大地震で被災した東京電力福島第1原子力発電所1号機について、経済産業省の原子力安全・保安院は12日午後、「炉心溶融でしか考えられないことが起きている」と発表した。東電は同日、原子炉に海水を注入し、炉心を冷やす作業を始めた。海水注入でさびやすくなることから、廃炉も視野に安全対策を進めた。燃料の核分裂に伴うセシウムやヨウ素を原発周辺から検出。ほぼ半世紀になる日本の原発史上で、最悪の原子力事故になった。
これに先立つ午後3時半ごろ、1号機周辺から爆発音が聞こえ、10分後に白い煙が噴き出した。この爆発で東電の社員2人と協力会社の作業員2人がけがをし、病院に搬送された。福島県に入った情報では原子炉がある建屋などの天井が崩落した。
枝野幸男官房長官は同日夜の記者会見で「建屋の壁が崩壊したものであり、中の格納容器が爆発したわけではない」としたうえ「放射性物質が大量に漏れ出すものではない」と主張した。
福島県に入った情報によると、午後4時すぎ、敷地内の放射線量が1時間に1015マイクロシーベルトを示した。一般人が年間に受ける放射線量の限度(1000マイクロシーベルト)に相当する値まで上がっている。
原発は万一の事故に備え、「5重の壁」と呼ばれる構造で放射性物質を閉じ込める。今回の爆発では一番外側にあたる原子炉建屋が壊れたことが映像で確認された。内側の防壁の状況は分かっていない。
建屋崩壊時は原子炉格納容器の圧力が高まっており、壊れる可能性があったため内部の空気を出す作業を進めていた。爆発が起きた原因は調査中だが、原子炉格納容器の圧力が何らかの理由で高まり過ぎて爆発したとすれば、最悪の場合は内部の防壁も壊れ、放射性物質が外に出た可能性がある。
1号機は東日本巨大地震の発生で自動停止はしたものの、緊急炉心冷却装置(ECCS)を動かすことができなくなり、炉を十分に冷やせなくなっていた。
東電は同日午後、原子炉内の水位低下が進んでいると発表した。午前9時に燃料の上部50センチメートルが露出していたのが、10時30分には90センチメートル、午後1時には1.5メートルに拡大。午後3時半ごろに1.7メートルになった。燃料の長さは4メートルで全体のほぼ半分が露出していたことになる。
21:57 日本経済新聞
原発事故、世界に衝撃 欧米・新興国で推進政策見直しも
東京電力福島第1原子力発電所1号機の事故は海外に大きな衝撃を与えた。日本の原発は世界的に最も安全に設計されており、運用・管理も最高水準とされていた。それが米スリーマイル島原発、旧ソ連のチェルノブイリ原発に次ぐ炉心溶融という最悪の事故に発展したことで、原発に対する信頼は大きく揺らいだ。
ここ数年、原油高や気候変動問題を背景に、世界的に原発回帰の流れが強まっている。欧州ではかねて積極推進していたフランスだけでなく、一時は新設を凍結していた英国や、地震が多発するイタリアなども推進に方針転換。新興・途上国も経済的判断などから原発新設を加速している。
スリーマイルとチェルノブイリの事故後には世界的に原発見直しの機運が高まった。今回の事故で各国で原発設置の正否を巡り議論が再燃するのは必至。特に、欧州では環境団体などによる反原発運動が根強く、方針の再転換を迫られる可能性がある。
事故があった原子炉は「沸騰水型原子炉」で、チェルノブイリやスリーマイルの原発とは異なるタイプ。黒鉛で中性子を減速するチェルノブイリタイプより安全性は高いとされ、世界各国に広く普及している。
過去のふたつの原発の炉心溶融事故は運転員の誤操作などの人的ミスがかかわっており、運用面での管理を強化すれば再発は防げると考えられていた。一方で今回は地震による衝撃が事故の引き金となり、原因は本質的に異なる。
地震は原発の最大のリスクのひとつとされ、日本の原発では世界最高水準の技術と施工で免震・制震対策が施されている。にもかかわらず、炉心溶融を起こしたことで、世界の関係者に与える衝撃は大きい。
22:26 日本経済新聞
福島第1原発周辺住民、少なくとも3人被曝 県が発表
福島県は12日午後9時過ぎ、東京電力福島第1原子力発電所の爆発に関連して、県民3人が被曝(ひばく)したと発表した。放射能の人体への影響を抑えるため、検査体制を強化するとともに、原子力安全保安院などと連携してヨード剤の投与など除染を進める。
県によると、被曝したのは双葉厚生病院(双葉町)に入院していた患者、職員ら。第1原発から半径3キロメートル以内の範囲で避難指示が出て、避難場所に向かおうとしていた時に爆発が発生。避難場所に向かうのを中止して病院に戻って検査したところ、3人に放射線量が確認されたという。
このため県は患者、職員合計90人を検査するほか、双葉町にある老人ホーム入所者約100人も検査する。
22:43 日本経済新聞
「最悪の事態は避けられた」住田健二・大阪大学名誉教授
核分裂反応で出る放射線によって、冷却用の水は水素と酸素に分離している。それを再結合して水に戻す装置が停電のためうまく働いていない。原子炉を覆う鋼鉄製の格納容器にひびが入るなどして、水素と酸素が漏れ、それがなんらかの原因で引火する「水素爆発」が発生した。格納容器の外での爆発だったため、最悪の事態は避けられた。
福島第1原発の正門で検出された1時間あたり1000マイクロシーベルトを超える放射線レベルは信じられない値だ。原子炉格納容器に大きな損傷がなく、放射線レベルも下がったので一安心している。
格納容器に海水を注入するのは、原子炉を厚く覆う圧力容器にも海水が入って燃料を冷やすことを期待しての判断だろう。二度と原子炉は使えなくなるため、東京電力としては安全確保を考えたうえでの結論だろう。
ただ、圧力容器の中の状況はわかっていない。依然として燃料が高温で溶融している状態が続いていれば、急に海水を注入すると、水蒸気爆発を引き起こす危険がある。あと1~2日は様子を見守る必要がある。
東北地方太平洋沖地震への対応 -首相官邸ホームページ-
原子力災害対策特別措置法
原子力安全・保安院
Wikipedia : セシウム
Wikipedia : ヨウ素
Wikipedia : 炉心溶融
Wikipedia : 放射能
Wikipedia : 放射線
Wikipedia : シーベルト
東京電力ホームページ – エネルギーの最適サービスを通じてゆたかで快適な環境の実現に貢献します -
TEPCO : 停電情報
Wikipedia : スリーマイル島原子力発電所事故
Wikipedia : チェルノブイリ原子力発電所事故
BBC News – Japan earthquake: Explosion at Fukushima nuclear plant
・Huge blast at Japan nuclear power plant BBC 日本で巨大な爆発の原子力発電所
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