統一地方選を締めくくる多久、伊万里、鹿島の3市議選と基山、大町、江北の3町議選が24日、投開票された。各選挙とも、東日本大震災で関心が高まった地域の安全・安心などの担い手が次々に決まった。政権交代後初めての統一地方選となった民主は、地方勢力拡大の足がかりにしようと、多久市議選に初めて擁立した公認候補が当選を果たした。
■多久で民主初議席
多久市議選(定数16)の民主新顔、香月正則氏(38)は24日午後10時半すぎ、当選が決まると、多久市内の事務所で支持者らと喜びあった。その中には民主党県連関係者の姿も。同市議会では党にとって初めての議席となる。
東海佐賀労組出身の香月氏。民主党の国政報告会などに参加して政策に共感し、党県連が地方組織拡大のため2008年から実施している「政治スクール」の門をたたいた。
その頃から「これまでの政治を変えたい」と、今年の多久市議選への挑戦を決意。09年の市議補選に出馬を打診されたが、「地域固めが出来ていない」と断った。党への「風」に左右されない態勢をつくってきた。
選挙戦では「政権与党とのパイプ」を強調することも忘れなかった。終盤には原口一博・前総務相、大串博志衆院議員も応援に駆けつけた。
県内での民主党は政権交代を実現した09年の衆院選以降、翌10年の神埼、武雄両市長選の推薦候補は落選。一方で、市町の議員選では公認・推薦候補は17勝2敗。県連の園田泰郎代表代行は「これからは風頼みの選挙は期待できない。日常的な活動ですそ野を広げ、地方議員候補を見つける。(勢力拡大は)一足飛びでは難しい」と話した。
■多久市議選
多久市議選は16議席を現職13人、元職1人、新顔7人の計21人で争う激戦に。選挙結果は、現職10人、元職1人、新顔5人が当選。党派別では民主、公明、共産が各1人、無所属13人。当日有権者数は1万7610人で、投票率は75・11%(前回76・60%)だった。
選挙戦は過疎と高齢化、中心市街地の衰退、交通網の不便や買い物困難など、市が抱える課題の解消と地域の活性化を主な論点に展開された。東日本大震災を受け、選挙カーを使った運動の一部自粛を申し合わせた候補者らは、個人集会などで熱心に支持を訴えた。
■伊万里市議選
伊万里市議選(定数24)では現職15人、新顔9人が当選した。新顔は前回の3人を大きく上回った。党派別では公明1人、無所属23人。当日有権者数は4万5825人で投票率は70・97%(前回74・39%)だった。
東日本大震災で原発問題に対する市民の関心も高まった。九電玄海原発の「防災対策重点地域」(EPZ)10キロ圏外の同市内でも、原発事故対策の必要性や、新エネルギーへの転換を訴える候補もいた。地域医療や子育て支援、雇用確保、まちづくり、市財政の立て直しも争点となった。
■定数16の鹿島市議選には現職10人、元職1人、新顔6人の計17人が立候補し、少数激戦となった。選挙の結果、現職10人、元職1人、新顔5人が当選した。党派別では公明1人、共産1人、無所属14人。当日有権者数は2万4907人で、投票率は69・15%(前回75・89%)だった。
九州新幹線西九州(長崎)ルート建設後をにらんで、定住政策や農漁業の振興、観光資源の開発、中心市街地の活性化対策などが論戦の中心になった。東日本大震災後の安全・安心対策も課題になり、白熱した選挙戦が展開された。