泡盛の製造過程で出る蒸留粕(かす)を有効活用しようと本島内の泡盛メーカー22社が31日、琉球泡盛蒸留粕事業協同組合を立ち上げた。蒸留粕は5~6年前のもろみ酢ブームの際高値で取引されていたが、近年は需要が減り、主に肥料として農家に無料で提供されることが多くなっているという。協同組合を設立し、業界が一体となって新商品開発や機能性研究に取り組み、新たな収入源につなげる。理事長に佐久本武県酒造組合連合会長を選出した。
佐久本理事長は「清酒の酒粕は食品や化粧品などに有効活用されている。泡盛粕も可能性があり、異業種とも連携して付加価値向上を目指したい」と意気込んだ。県飼料協業組合と飼料開発に向けて交渉しており、まとまれば貯蔵タンクなど共同施設を建設する。
蒸留粕はタンパク質が豊富で有用とされ、飼料会社や化粧品メーカーなどから引き合いがあるという。ただ、まとまった量が確保できず、泡盛メーカー1社での対応は難しかった。組合設立で各メーカーの蒸留粕を一括で取り扱い、有利販売にもつなげる。
事業が軌道に乗れば宮古、八重山地区の酒造会社にも加入を呼び掛け、将来的には全46酒造所の加盟を目指す。
県内全酒造所の蒸留粕の年間排出量は4万4084トン。2割がもろみ酢、残りは肥料や飼料に利用されている。
副理事長に県酒造組合連合会の松田亮副会長、専務に同連合会の又吉良秀専務を選出した。