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福島第1原発:1号機の格納容器圧力 窒素注入前の水準に

1号機の格納容器内のイメージ ※東電発表に基づく
1号機の格納容器内のイメージ ※東電発表に基づく
格納容器内の気圧
格納容器内の気圧

 水素爆発防止のための窒素注入が続く福島第1原発1号機について東京電力は25日、格納容器内の圧力が注入前の水準に戻ったことを明らかにした。東電は格納容器内に水がたまって冷却が進んだ結果と見ているが、窒素が容器外に漏れている可能性もあることから、爆発を防ぐために今後も窒素の注入を続ける方針だ。

 1号機の燃料棒の損傷度合いは70%と推定され、第1原発の原子炉の中で最も激しい。損傷の結果、燃料棒の被覆管が溶け、材料中のジルコニウムが冷却水と反応して大量の水素が発生。原子炉建屋内に充満し、3月12日に水素爆発が起きた。

 原子炉内では今も強い放射線で水が分解されるなどして水素が発生しており、再爆発の危険がある。窒素注入は、化学的に安定で燃えない窒素を格納容器内に入れ、水素の濃度を下げる目的で今月6日から始まった。

 当初、格納容器内の圧力を2.5気圧に高めることを目標にしていた。しかし、注入前の1.56気圧が11日の1.95気圧で頭打ちとなり、24日正午には注入前とほぼ同じ1.58気圧に下がった。注入量は予定の6000立方メートルの2倍近い約1万1350立方メートルに達している。

 東電は、燃料を冷却するための注水で発生した水蒸気が格納容器に移動して水になり、底にたまると同時に圧力低下を招いたと分析する。圧力が想定通りに上がらないのは、格納容器から窒素が漏れているためとみており「窒素注入をやめれば水素の割合が高まり、爆発のリスクが増える。窒素注入は継続する」と話す。【江口一、藤野基文】

毎日新聞 2011年4月25日 11時05分(最終更新 4月25日 12時45分)

 

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