都民のみなさんへ

平成23年4月25日更新
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発言内容

都民のみなさんへ(4月)

四期目を迎えて

 みなさん、こんにちは。
 私は、実は150%引退するつもりだったんですが、いろいろ諸般の事情で、まさに自分として、はからずも知事を四選して務めることになりました。
 何という符合なんでしょうか、出馬声明をした直後にこの大地震がやってきて、まさに東日本が半ば壊滅するという大惨状になりました。これは、私は一つの国難といえると思いますし、ある意味、小さな戦争以上に大きな、私たちに犠牲を強いられて、その復旧復興のためには膨大な時間とお金がかかるでしょう。
 同時に、また、首都圏がその首都圏としての文明、生活を維持するために、供給を仰いでいた福島県の原子力発電所が壊滅的な被害を受けた。そして、その放射能の危険はいまだに続いております。私たちは、こういう状況を踏まえて、ある大きな反省をしないと、この災害の意味も歴史的に活きてこないと思います。
 例えば、原発のおかげで電力の供給が低下して、今年もまた暑い夏がやって来ますが、果たして今年の夏が去年と同じように猛暑になるかどうかわかりませんけども、しかしいずれにしろ、夏の季節というのは電力の消費が非常にかさむ。
 それを供給する能力が欠けてしまった今、私たちは、当然、一人ひとりが努力して節電をしなくてはいけません。そういう努力を通じて、私たちが今まで当たり前のこととして享受してきた、この首都における生活というものは、果たしてそのままでいいのかどうかということです。例えば、私たちの文明生活というのは、全てとはいいませんけども、電力というものの供給がなかったら動いていかないわけです。日本にしかない現象の一つで、街中に自動販売機が氾濫している。あれは、治安が良くて、外国だったら、とんでもない連中があれをぶっこわして中身をかっぱらって行くから、ありえないことでしょうけど、幸い、首都圏の治安は安定していますので、ああいったものが、ある意味では跋扈している。
 この間、自動販売機の協会の幹部が、「私たちは、決して浪費はしていない。消費はしているけど浪費はしていない。」という訳のわからない詭弁を弄してました。あんなものが、一つの文明の便宜として街中にあって、膨大な電力を食っているということは、本当に文明としての正当な消費なんでしょうか。私は浪費にすぎないと思います。
 それから、多くの日本人が好きなパチンコ屋です。これは、一日中チンチンジャラジャラ大きな音楽をかけ、煌々とネオンサインを灯している。一つずつの機械も電力を食うわけですが、しかも、それで食っている人がいるという、こういう生活様式というものは、私たちは、反省の対象とすべきなのではないでしょうか。
 パチンコ屋をやっているのは、在日の韓国系の人が多いそうですけど、その一部の人が、「これは自分の母国の韓国でも流行るだろう」と持って帰ったら、面白かったんでしょう、たちまち人気になった。これは人間を怠惰にして、人生を狂わせるということで、当局が乗り出して、韓国ではパチンコは全廃されました。
 私はそれを必ずしも是とはしません。しかし、一日中、ああいった機械が回って、騒音を立てている。しかも目抜き場所の再開発が行われると、真っ先に建つのがパチンコ屋だったら、これは、あんまり誇るべき文明の対応とは、私は言えないと思います。
 いずれにしろ、私たちはこれから、この危機というものを踏まえて、今まで当然としてきた生活の様式、ひいては、人生の様式というものを考えて行かないと、私はこの国はもたないと思います。
 被災された方は、本当に悲惨な生活を送っておられますが、あそこで見る、ボランティアも含めた人間関係というのは、当然、あるべき人間の姿、まして、それ以上に、涙を流して、ささやかな援助に感謝する、あの被災者の方々の姿を見ると、昔の美しい日本人の姿が残っているという感じがします。しかし、私は、それに安住することなく、被災地以外の日本人がこれからどんな生き様をするのか、どういう生活を続けたいと思うのか。これは、私たち自分自身の問題として反省しませんと、天は、この国の命運を許さないと思います。
 随分口幅ったい、強いことを言うみたいですけれども、この災害を私たちがきっかけにして、もうちょっと節度のある、金銭欲、物欲、性欲というものが跋扈しているこの日本の社会様式というものを変えて行こうという心を持たないと、この大きな災害の犠牲というのは、日本の未来にとって将来にとって活かされてこないと思います。
 みんなで、自分をもう少し折って節度のある、わがままを通さない、我欲を張らない、倹約と言いませんが、もっと地道な生き方というものを本気で考えて行かないとだめだと思います。
 みんなで、そういう点で反省しながら頑張りましょう。

東京都知事 石原 慎太郎